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中国No.1トーク番組もやられた! 習近平「検閲」最新事情
今秋の党大会が終われば、検閲はゆるむ?
さて、「鏘鏘3人行」は検閲ぎりぎりのラインに踏み込むことで知られる番組だ。いや、ぎりぎりどころかスタジオではとても放映できないような内容が飛び交う。日本ならばピー音を入れるところだが、中国の検閲手法は独特だ。安徽省の景勝地、黄山にある有名な大木「迎客松」の画像を表示し、のどかな音楽を流して過激発言を消すのだ。
「テレビ信号伝達の故障です。少々お待ちください」というメッセージが添えられていることも。他にも突然広告が入るというパターンもあるようだ。中国では契約すると、衛星放送でNHKなど海外の番組が見られるようになるが、天安門事件関連などの「敏感」な話題となると、画面がブラックアウトしてしまう。そのもう少しのどかなやり方が「迎客松」というわけだ。
丁々発止のやりとりが続いたかと思うと、突然、松の写真が映し出されるのだから異様そのものとしかいうほかない。まあ一部のファンはそれを楽しみにしているようだが。
ともあれ、ぎりぎりのラインを探りながらも、この番組は存続してきた。初放送は1998年という超長寿番組だ。それがここに来てバックナンバーのネット公開停止という危機に追い込まれたのはなぜか。
背景にあるのは「政治の季節」である。今秋、中国共産党は党大会を開催する。党大会で第2期習近平体制の顔ぶれが発表されるわけだが、今は人事をめぐり最後の暗闘が続いている状況なのだ。誰かの失点になるような内容を放送すれば一気に責任問題となる。それだけに検閲は一気に厳しくなっている。
党大会が終われば、少しはこの検閲もゆるむのではないか。いや、たんにゆるめるだけではなく、本当の意味での改革を進めるべく言論の自由をもう少し認める方向に変わるのではないか。変わってほしい、私はそう願っている。
というのも、実は今、私の半生を映画化するプロジェクトが中国で動いているからだ。主演候補になっているのは日本人なら誰もが知っているあの中華系の有名俳優だ。発表できるタイミングがくれば皆さんにもご紹介したいが、その前にまずクリアしなければならないのが検閲である。
中国では映画の検閲は厳しく、プロジェクト申請時、台本完成後、そして完パケ後と3回の審査が必要となる。テレビやネット番組同様、映画の検閲も強化されているわけだが、この厳しい基準が続けば私の映画がいつになったら完成するのか、わかったものではない。
とまあこうした個人的な事情もあるのだが、それ以上に民主主義国・日本で暮らす人間として、中国の人々にもその素晴らしさを味わって欲しいという思いが強い。私が日本で得た経験を、自由に中国の人々に伝えられる時代が来ることを祈っている。
【参考記事】中国SNSのサクラはほぼ政府職員だった、その数4.8億件
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