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大人気の台湾旅行、日本人が知らない残念な話
中国人に対する差別的な態度は残念
確かに、台湾が素晴らしい発展を遂げてきたことは事実だ。しかし、約30年間にわたり日本で暮らしてきた私の目には不十分な点も少なくなかった。
いきなりあぜんとさせられたのは九份の近隣、金瓜石黄金博物園区で見た光景だ。この地は日本植民地時代に大々的な開発が進められ、東北アジア一の金山と呼ばれていた。1987年に閉山となった後、観光地として活用されている。坑道や日本人宿舎、精錬施設などをまとめて世界遺産として登録する準備も進められているという。
観光地として活用するのはいいのだが、閉山から20年が過ぎた今も、山から黄色い水が海へと流れ込んでいるのには辟易した。水が流れ込む先は、海の一部が金色に染まっている陰陽海だ。過去の汚染が作り上げた奇景とされているが、現在も汚水が流れ込んでいるのではないだろうか。現在は汚染はないというが、とても自慢するような光景とは思えない(※)。世界遺産登録などもってのほかだろう。
また、台北の有名な牛肉麺レストランを訪れた時のことだ。大鍋の中にお椀を突っ込んで豪快にスープをすくっている。お椀の外側は店員が指で触っているというのに、だ。店員が汚いサンダルで調理場を歩き回っている姿も目についた。
この店はB級グルメの屋台ではない。東京でレストランを経営する私から見ると許しがたい光景だ。旅行だから、アジアの情緒があるからと日本人客は受け入れているようだが、もし日本国内の店でこんなことをしたらあっという間に潰れるだろう。
そして何よりも残念だったのが、台湾人がときおり見せる差別意識だ。息子の一龍はいま中国語を猛勉強している。私の前で格好いいところを見せようと一生懸命に中国語を話すのだが、そうするとタクシーの運転手もお店の店員も冷たい態度を示す。ところが、一龍が中国語でうまく表現できない時に日本語を話しだすと、態度が一変。とたんに親切になるのだ。
これを親日と言っていいのだろうか。「現・日本人」として台湾の人々が日本を愛してくれるのはうれしい話だが、中国人に対する差別的な態度は残念に思う。
【参考記事】だから台湾人は中国人と間違えられたくない
中台関係は複雑なだけに、さまざまな思いがあるのはわかる。だが、すべての客に公平かつ誠実にサービスするのが商人道というものだろう。親日や反中ではなく民度の問題なのだ。少なくとも日本のレストランやホテルで、中国語を話したからといってこうした差別を感じたことはない。
中国本土は台湾本土よりも50年遅れていると言われているが、私の目から見ると台湾も日本から50年は遅れていることがはっきり分かった。そうなると中国本土と日本の格差はどれだけ広いのやら。まあこの先は言わぬが花だろう。
【参考記事】美しいビーチに半裸の美女、「中国のハワイ」にまだ足りないもの
※本文2ページ目の3段落目を訂正しました。(2017年1月31日)
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