コラム

日本を標的にする「サイバー攻撃者」ランキング 2位は中国政府系グループ...奪われたデータの行方は?

2024年11月27日(水)18時47分

国内の業種別では製造業が最も狙われている

ランサムウェア攻撃で有名な「LockBit3」も、特に2022年以降日本をターゲットにしている。日本国内の業種別では、製造業が最も狙われている。次いで、消費財・サービス、素材、ヘルスケアとなっている。今年2月には、LockBit3に対する法執行措置が行われ、LockBit3の運営に大きな打撃を与えた。だが残念ながら、ランサムウェア攻撃の数は減っていない。

日本は世界で最もランサムウェアの標的にされている国のひとつだ。もちろんアメリカなど英語圏の国々は依然として標的にされることが多く、アメリカだけでランサムウェア被害者の半数になる。

脆弱性という意味では、特にゼロデイ(まだ知られていないセキュリティの欠陥)脆弱性の悪用は、検知を迂回しようとするサイバー攻撃者にとって好都合な攻撃の入口となる。特に、中国とロシアの脅威勢力は、スパイ活動の一環としてゼロデイ脆弱性を巧みに利用していることで知られる。

攻撃者らは広範な攻撃対象領域を侵害することを目的として、サプライチェーン攻撃の機会を積極的に狙っている。このような多面的なアプローチは、敵対者が採用する戦術が絶えず進化していることを浮き彫りにしていると言えよう。日本の産業部門が拡大し、産業オートメーションへのシフトが顕著であることを考慮すると、効果的なセキュリティ対策が極めて重要であることを強調する必要がある。

筆者は2024年12月10日に開催される「Security Management Conference 2024 Winter」にて特別講演を行う予定だ。この特別講演には日本語字幕も用意されているのでぜひ申し込みの上、会場に足を運んでいただきたい。

元情報機関、そしてグローバル企業の元CISOとしての経験から、日本の組織がサイバー攻撃に遭わないために検討すべきポイントについて議論していきたいと考えている。

セキュリティマネジメントカンファレンス開催概要
セキュリティマネジメントカンファレンス 2024 Winter
サイファーマ特別講演日時:2024年12月10日(火)16:40~17:10
詳細・お申込はこちら:  https://www.sbbit.jp/eventinfo/81519

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英企業信頼感、1月は1年ぶり低水準 事業見通しは改

ビジネス

基調物価の2%上昇に向け、緩和的な金融環境を維持=

ワールド

米運輸長官、連邦航空局の改革表明 旅客機・ヘリ衝突

ビジネス

コマツの4ー12月期、営業益2.8%増 建機販売減
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story