コラム

日本を標的にする「サイバー攻撃者」ランキング 2位は中国政府系グループ...奪われたデータの行方は?

2024年11月27日(水)18時47分

テレグラムなどで過去の漏洩データを再共有

こうした攻撃によって起きる企業や組織のデータ漏えいは、個人情報の盗難、金融詐欺、影響を受けた組織の信頼と評判の深刻な損失につながる可能性がある。さらに、フィッシング詐欺、ランサムウェア攻撃、不正アクセスなど、より標的を絞った効果的な攻撃を行うために必要なデータをサイバー攻撃者に提供することになる。

特に、流出した情報に個人識別情報(PII)が含まれている場合はなおさらだ。2023年に日本の保険会社が情報漏えい事件の犠牲になったが、この漏洩データが今、再び脚光を浴びており、無料メッセージングアプリのテレグラム上で拡散されている。さらに他のランサムウェア攻撃グループも、テレグラムなどで過去の漏洩データを再共有していることが少なくない。

他にも、例えば、あるテレグラムユーザーは日本の運転免許証の漏洩情報を求めるメッセージを掲載しており、何らかの有害なサイバー攻撃を行う準備をしていることがわかる。日本のプラスチック加工業界をリードするある企業は、最近、データ流出に見舞われたが、流出したデータは約187GB規模で、現在テレグラムのデータ流出チャンネルに出回っている。

こうしたデータは複数のグループで再共有され、自由にダウンロードできるようになっている。さらに、Cyfirma社では、日本のソフトウェア会社から131GBのデータを盗んだサイバー攻撃グループがダークウェブの掲示板でそのデータを販売しているのを特定している。社内の個人的な電子メール、通信記録、ソースコード、顧客データ、財務記録、およびその他の機密情報が漏れていた。

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日製副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道

ワールド

米国務長官、4月2─4日にブリュッセル訪問 NAT

ワールド

トランプ氏「フーシ派攻撃継続」、航行の脅威でなくな

ワールド

日中韓、米関税への共同対応で合意 中国国営メディア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story