コラム

TBS「天気予報の森田さん」の気象哲学──不確実のススメ

2020年06月04日(木)17時05分

人は不確実性をリスクとし、無難な枠の中で安定を求めがちだ。確かに台本どおりの進行やデータどおりの天気予報なら問題は起きにくい。しかし、それはしばしば思考停止を生む。昨今の社会が、やみくもにエビデンスを求める一方で、根拠のない不安に支配されるのはその象徴に見える。

「今、とっても幸せなの。この年になってデータも蓄積され、多様な視点も持てるから、いろんな現象が理解できるようになってきたんだ」

森田さんのように不確実性を受け入れた上でデータに思考を巡らせることこそ、実は確実性に近づくことなのかもしれない。

<本誌2020年4月14日号掲載>

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プロフィール

久保田智子

ジャーナリスト。広島・長崎や沖縄、アメリカをフィールドに、戦争の記憶について取材。2000年にTBSテレビに入社。アナウンサーとして「どうぶつ奇想天外!」「筑紫哲也のニュース23」「報道特集」などを担当。2013年からは報道局兼務となり、ニューヨーク特派員や政治部記者を経験。2017年にTBSテレビを退社後、アメリカ・コロンビア大学にてオーラスヒストリーを学び、2019年に修士号を取得。東京外国語大学欧米第一課程卒。横浜生まれ、広島育ち。

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