ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏裁判所

フランス・パリの裁判所は31日、極右政党、国民連合(RN)の指導者マリーヌ・ルペン氏(写真)に対し、欧州連合(EU)からの公金不正流用で有罪とし被選挙権を5年間停止とした。裁判所で撮影(2025年 ロイター/Abdul Saboor)
Elizabeth Pineau Juliette Jabkhiro
[パリ 31日 ロイター] - フランス・パリの裁判所は31日、極右政党、国民連合(RN)の指導者マリーヌ・ルペン氏に対し、欧州連合(EU)からの公金不正流用で有罪とし被選挙権を5年間停止とした。
控訴審で勝訴しない限り2027年の次期大統領選に出馬できなくなり、有力候補とみられていたルペン氏に大きな打撃となる。
ルペン氏はテレビのインタビューに応じ「裁判所は政治的な決定を下した。27年の選挙に私が出馬するのを故意に阻止しようとした」と猛反発。大統領選の投票前に控訴審が行われるとは考えにくいとし、27年の大統領選には出馬できないと述べた。その上で、「排除されたのは私だが、実際に声を排除されたのは何百万人ものフランス国民だ」と指摘した。
ただ、「この判決は私が政治から引退することを意味するものではない」とも述べ、無実を訴えるとともに、断固として戦う姿勢を示した。次期大統領選までに判決を覆すことに成功した場合は出馬する意向も表明した。
ルペン氏とRN、同党幹部24人は、欧州議会の資金400万ユーロ(433万ドル)超をフランスの職員手当に流用したとして訴えられていた。RNは議会スタッフの職務を狭く定義していると主張、資金利用は合法としていた。
判事は、ルペン氏が事件の中心人物とし、禁錮4年、執行猶予2年のほか10万ユーロの罰金を科した。
ルペン氏側が控訴することはほぼ確実で、控訴中は禁固刑や罰金は適用されない。しかし、検察が要請したいわゆる「仮執行」措置により被選挙権は即時発効し、選挙前に控訴審で認められた場合のみ解除される。任期終了まで現在の議員職は保持する。
RNのバルデラ党首は「民主主義が殺された」と強く非難した。同党首は次期大統領選でRNの候補となる見込み。
ルペン氏はこれまで3度大統領選に出馬しており、2027年が最後の大統領選になると述べていた。
この判決に対し、フランスの同盟国や、イタリア、スペイン、オランダなど欧州諸国の極右指導者らから、司法権限の濫用だとの非難の声が上がっている。
イタリアの極右政党「同盟」の代表マッテオ・サルヴィーニ氏は声明で、ルペン氏に対し「われわれは脅かされないし、立ち止まらない。全速力で前進だ、友よ」と呼びかけ。ハンガリーのオルバン首相もルペン氏に同情を寄せた。
RN関連の著書がある政治アナリストのアルノー・ベネデッティ氏によると、ルペン氏に対する5年間の被選挙権停止はフランス政治における重要な局面変化だと指摘。「必然的に、特に右派の勢力図が変わることになるだろう」とした。
専門家によると、バルデラ氏はRNの若年層への支持拡大に貢献したが、27年の大統領選で勝利するためにRNが必要とする幅広い有権者の支持を獲得できるだけの経験があるかは不明だ。