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菅政権の浮沈を左右する「40%の壁」とは?
泣き面にハチだった「小山田騒動」
いずれもしても、ワクチンを普及させてコロナ禍を克服し五輪を成功させるという政権戦略に賭けた菅首相が現在、極めて厳しい状況に直面していることは間違いない。
7月12日に発令された4度目の緊急事態宣言の下では、飲食店における酒の提供規制を強化するために、金融機関の融資と酒卸の納入という両面から飲食店を「しめあげる」政策を打ち出そうとして、西村康稔経済再生担当大臣が批判を浴び、撤回を余儀なくされた。行政手続法が定める「行政指導」としてではなく、国民には唐突に「上から降ってきた」話であり、法的根拠がなく営業の自由を妨げる話だと理解された。怒りが噴き出したのは、コロナ禍で経営破綻に直面している飲食店、そこで働く人々の不安、外食もままならずストレスを抱えている国民に対して、感染拡大防止のために「なぜ酒類の提供を減らそうとするのか」という施策の因果関係が丁寧に説明されることがなかったからであろう。
菅政権が命運を託していた五輪については結局、競技の大半が無観客開催になり、アスリートやボランティア、チケットの抽選に当たって観戦を楽しみにしていた人々を含めて、多くの人を失望させた。7月14日に東京2020組織委員会が発表した開閉会式クリエーティブチームの作曲担当者の一人である小山田圭吾氏がかつて、「障害者(障碍者)いじめ」を雑誌のインタビューで語っていたことについても批判が殺到し、辞任に追い込まれた。7月23日のオリンピック開会式直前のドタバタであり、なぜこのタイミングで唐突に起用を発表したのか、開会式で流れる音楽をどのような気持ちで聞けばいいかという点で国民の間にシコリを残し、戸惑いが広がっている。
肝心のワクチン接種についても、一時は破竹の勢いだった接種にブレーキがかかった。大規模接種センターや各地の診療所・病院での地域接種のみならず、企業や大学における1000人超規模での職域接種についても接種計画の先送りを余儀なくされる例が目立っているが、ブレーキの原因と今後の見通しについて十分な説明がなされているとは言えず、やはり国民の間で不満が募っている。
そうした中、菅政権のワクチン接種政策でいま注目されているのが「40%」という数値だ。出典となったのは野村総合研究所が5月末に発表したレポート「ワクチン接種先行国における接種率および感染状況から見た今後の日本の見通し」で、イスラエル、イギリス、アメリカでのワクチン接種率(人口比)と新規感染者数の推移に関する統計データを分析した結果、「ワクチン1 回目接種率が4割前後に達したあたりから新規感染者数の減少傾向が明確になり、必要回数(主に 2 回)の接種率が 4 割前後に近づくにつれ、新規感染者数の抑制・低減傾向が強まった」とするものだ。
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