コラム

今年も化石燃料によるCO2排出量は「過去最高」に...「生きるか死ぬかの問題だ」WHO専門家がCOP29で警告

2024年11月20日(水)06時08分

世界全体の32%を占める最大の排出国・中国の排出量は0.2%の微増、13%を占める米国の排出量は0.6%減、8%を占めるインドの排出量は4.6%も増加、7%を占める欧州連合(EU)域内の排出量は3.8%減少すると予測される。

COP29で各国首脳や専門家が警鐘

WHOのマリア・ネイラ博士(筆者撮影)

世界保健機関(WHO)のマリア・ネイラ博士はCOP29での記者会見で「気候危機は健康危機でもあり、健康に深刻かつ劇的な影響を及ぼしている。気候危機の代償はすでに私たちの肺が払っている。汚染された空気にさらされることで毎年700万人が早死にしている」と指摘した。

「化石燃料からの脱却は生きるか死ぬかの問題だ」

化石燃料は大気汚染の原因と75%重なっており、私たちの肺は有害物質だらけとネイラ博士はいう。大気中に浮遊する微小粒子状物質(PM2.5)はWHOの安全基準では年平均で1立法メートル当たり5マイクログラムとなっているが、東京では2.6倍の13マイクログラム。

「経済的な理由でグリーンエネルギーへの移行を野心的なスピードで進められないと言う人がいれば、その代償は本当に莫大で、私たちの肺が最大の犠牲者だと教えてあげればいい。化石燃料からの脱却を加速させることは生きるか死ぬかの問題だ」とネイラ博士は強調した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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