コラム

大増税と20兆円の資本支出に「ギャンブルだ」の声...英国は「割安の罠」から抜け出せるか?

2024年10月31日(木)17時55分

税金は国内総生産(GDP)の38.2%に達した。英国では過去最高だ。2年間の公共サービスへの資金投入が機能不全を解消するのに十分で、巨額の支出は長くは続かないというのが第一の賭けだ。

短期的に大金をつぎ込み、将来は緊縮するという約束が守られた試しが果たしてあるのだろうか。2年経っても支出圧力がなくならない場合、再増税を避けて通れなくなる。

海外の国が英国に投資する理由は?

公共サービスへの資金投入や公共投資の拡大で、コストを上回る利益を期待していることが第二の賭けだ。「借り入れが増えれば負債が増え、利払いも増える。この世にフリーランチは存在しない。コストに値するかおカネの使い方を確認しなければならない」(ジョンソン所長)

リーブス氏は「国家ファンド」を創設、航空部門に10億ポンド、自動車産業に20億ポンド、生命科学イノベーション製造基金に5億2000万ポンドを投資する。財務省のスペンサー・リバモア財政長官は筆者の「海外の国が英国に投資する理由はあるか」という質問にこう答えた。

「国際投資サミットが開催され、640億ポンドの投資が約束された。高度に熟練した労働力、政治的・経済的な安定性という点で投資先として英国は非常に魅力的な国だ。自動車、生命科学、クリエイティブ産業、未来のグリーンテクノロジーを柱に新しい産業戦略を策定した」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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