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イスラエル「世界最強」防空システムと情報機関でも、奇襲を防げなかった理由...もはや「ハマス敗北はない」の声も
ガザから発射されたロケット弾を迎撃するイスラエルのアイアン・ドーム(10月8日) Amir Cohen-Reuters
<双方の死者が計1500人超というイスラエルにとって建国以来最悪の奇襲攻撃だが、「抵抗の枢軸」はどこまでハマスの作戦に関与したのか?>
[ロンドン発]パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃で、イスラエル側では建国以来最悪とされる900人以上、ガザで687人を含む計1500人以上が死亡した。世界最強と称賛されてきた防空システム「アイアン・ドーム」や情報機関に守られているはずのイスラエルはどうしてハマスの奇襲をまともにくらってしまったのか。
■【動画】ゲームにあらず、降り注ぐロケット弾を正確に捉えるイスラエルの迎撃ミサイル(2021年の映像)
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(10月8日付電子版)は「ハマスと、レバノンを拠点に活動するイスラム教シーア派組織ヒズボラ(イランが支援するもう一つの過激派組織)幹部によれば、イランのイスラム革命防衛隊はハマスの奇襲攻撃計画を支援し、10月1日にベイルートで開かれた会議で攻撃にゴーサインを出した」と報じた。
イスラム革命防衛隊は8月からハマスと協力。会議にはハマスやヒズボラを含む4つの民兵組織が参加して陸海空の統合作戦を考案したという。テヘランが直接、イスラエル人殺害の責任を負うことになった場合、中東の紛争リスクは一気に高まる。同紙によると、イスラエル当局はテヘランの責任が明らかになった場合、イラン指導部を攻撃すると公言している。
しかしアントニー・ブリンケン米国務長官は米CNNのインタビューに 「イランがこの攻撃を指示した、あるいは背後にいたという証拠はまだ見つかっていない」と語り、ハマス幹部も「パレスチナとハマスの決定だ」とイランの関与を否定。イラン国連代表部は「パレスチナの正当な防衛を支持するが、われわれは関与していない」と疑惑を全面否定している。
イランは『抵抗の枢軸』のパトロン
英紙フィナンシャル・タイムズ(10月9日付電子版)は「ハマスと『抵抗の枢軸』、パトロンのイランを結びつけるものは何か? テヘランが支援するネットワークは、過激派グループ(ハマス)がいかにしてこのような多面的な攻撃を実行できたかを説明するカギになるかもしれない」と解説している。
「抵抗戦線」と呼ばれることもある「抵抗の枢軸」とは何か。米国や他の西側諸国の影響力、イスラエルと敵対するイラン・シリア、非国家主体の政治的・軍事的連携だ。イランは影響力を拡大するため地域の民兵組織や政治組織と数多くの関係を築き、国家スポンサーになってきた。イランとヒズボラはシリア内戦でアサド政権を積極的に支援した。