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「欧州スーパーリーグ」とは、英プレミアのことだった? 他国とここまで差がついた理由
これに3クラブを加えた15クラブが創設メンバーとなり、残り5クラブが前季の成績に基づき出場権を獲得する構想だった。創設メンバーにはコロナ危機による減収を穴埋めし、インフラ支援のため31億ポンドが提供されると報じられた。ドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムント、フランスのパリ・サンジェルマンの名はなかった。
利害が衝突するUEFA(欧州サッカー連盟)やFIFA(国際サッカー連盟)は欧州スーパーリーグ構想に猛反対。ボリス・ジョンソン英首相(当時)は「スーパーリーグ構想はサッカーに打撃を与える。グローバルブランドになったクラブも歴史的には地域社会から生まれた」と政治介入した。選手やサポーターからも総スカンをくらい、構想はあえなく頓挫した。
凋落のバルセロナ
デロイトの「フットボールマネーリーグ2023」によると、21/22年シーズンの上位20クラブの総収入は81億5000万ポンドで、20/21年シーズンの72億6400万ポンドより13%増加し、コロナ前のレベルまでほぼ近づいてきた。マッチデー収入(試合のチケット、物販・飲食)は9800万ポンドから12億4000万ポンドまで回復した。
スポンサーシップや直営店、ライセンスなどコマーシャル収入もプレミアのクラブを中心に31億ポンドから33億6600万ポンドに増えた。一方、マネーリーグの「強豪クラブ」バルセロナとレアル・マドリードは全盛期の18/19 年シーズンからそれぞれ1億8000万ポンド、3800万ポンドも減らしており、コロナ前の水準まで回復していない。
バロンドールを史上最多の7度も受賞したアルゼンチン代表FWリオネル・メッシを放出せざるを得なかったバルセロナはマネーリーグの1位から7位に転落している。
これに対してプレミアのリバプールは同期間に8600万ポンド増、チェルシーが4900万ポンド増を記録した。マンCは1億600万ポンド増とマネーリーグでも2年シーズン連続で首位に躍り出た。アブダビ・ユナイテッド・グループに買収される前は21位だったマンCは世界トップの監督や選手を集め、コマーシャル収入を増やしてビジネスでも大成功を収めた。
マネーリーグのトップ30クラブを見た場合、プレミアは16クラブで、リーグに所属する全クラブの8割を占める。スペインは5クラブ、イタリアとドイツは各3クラブ、フランス、ポルトガル、オランダが各1クラブだ。「金満リーグ」と揶揄されるプレミアは、かつての国際金融街シティと同様、軽い規制による不当な優位性のおかげで繁栄しただけなのか。