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ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
ロシア外務省は「英外務省による偽情報の拡散はアングロサクソンを中心とする北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナ周辺の緊張をエスカレートさせていることを示す証拠の一つだ」とイギリスの告発を一蹴した。米英のアングロサクソン連合と欧州連合(EU)の溝が浮き彫りになる中、イギリスがアメリカを"援護射撃"した格好だ。
しかし首相官邸で日常的に大人数飲み会が行われていた問題で与党・保守党内から辞任を突きつけられるボリス・ジョンソン首相がウクライナ危機に乗じて批判の矛先をかわそうとしている面もある。第二次大戦で祖国を勝利に導いたウィンストン・チャーチルに自らをなぞらえるジョンソン氏だが24歳年下の新妻も操縦できず、百戦錬磨のプーチン氏に対抗できる器ではない。
武器供与を拒否
イギリスは急遽、対戦車兵器をウクライナに供与し、訓練要員として約100人を派遣。カナダも小規模な特殊部隊をキエフに配備した。両国ともアングロサクソン5カ国のスパイ同盟「ファイブアイズ」のメンバーだ。それに対してドイツは自らの武器供与を拒否した上、バルト三国のエストニアがドイツ製の武器をウクライナに供与することまで許さなかった。
そればかりか対戦車兵器を運ぶイギリスの軍用機はドイツ領空を飛べず、迂回ルートを取らざるを得なかったのだ。
ドイツ政府はロシアを国際金融決済システム(SWIFT)から切り離す金融制裁は欧州にも破壊的な影響を与えるため考えられないと独メディアに説明し、アメリカを激怒させた。米政府は代わりにロシア金融機関とのドル取引停止を検討している。これを機にロシアの原油・天然ガスは欧州単一通貨ユーロや中国の人民元での取引が増えるだろう。
ロシアからバルト海の海底を通ってドイツに天然ガスを運ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」の凍結についてもドイツは慎重だ。
ドイツ政権内部では、対露強硬派の緑の党共同党首アンナレーナ・ベーアボック外相とオラフ・ショルツ首相の対立も取り沙汰される。ロシアはドイツに原油や天然ガスを輸出し、ドイツはロシアに機械や自動車、自動車部品を輸出する相互依存関係は、ポーランド分割、バルト三国のソ連占領を承認した1939年の独ソ不可侵条約の時代から変わらないのだ。
独海軍総督はクリミア消滅発言で辞任
21日には、ドイツのカイ=アヒム・シェーンバッハ海軍総監がニューデリーで開催されたシンクタンクの会合で「プーチン氏が本当に求めているのは敬意だ。敬意を払うのは低コスト、いやノーコストだ。彼が本当に要求している、おそらくそれに値する敬意を与えるのは簡単なことだ」と発言した。
さらにウクライナにおけるロシアの行動に対処する必要があることは認めたものの、「クリミア半島は消滅し、二度と戻ってくることはない、これは事実だ」とも述べた。ロシアはクリミア併合を撤回しなければならないという西側の立場とは矛盾するため、シェーンバッハ氏は責任を取って辞任した。