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密航拠点の難民キャンプ「ジャングル」を撤去しても根本問題は解決しない
英国に家族がいる難民孤児500人の受け入れをオランド大統領から求められた英国のメイ首相は200人を引き受けた。英国のEU離脱交渉の難航が予想される中、英仏両政府が罵り合いを避け、協力したのは大きな前進だ。
ジャングルではレイプや暴力、人身売買を防ぐため、男性と女性・子供の区画は分けられていた。支援団体「難民の権利データ・プロジェクト」が16年3月に行った調査によると、回答者の76%が警官の暴力を経験、70%が警官隊による催涙ガスの洗礼を受けていた。子供の61%は一度も安全と感じたことはないと答えた。
難民認定の保証はない
英国が国境管理をカレー側に移してから難民申請件数は年間8万件から3万件に減った。EU離脱でフランスが国境管理をドーバー側に突き返せば難民は再び跳ね上がる恐れがある。英国への渡航が容易になると磁力のように難民をカレーに吸い寄せるからだ。
ジャングルが17年仏大統領選のスケープゴートにされる最悪の事態は回避されたが、フランス各地に運ばれた難民の申請が認められる保証は何一つない。02年にも、ジャングル西側にあったサンガット難民キャンプが撤去されたことがある。英仏両国が協力して難民受け入れに取り組まない限り、新たなジャングルが出現するのは必至だろう。