コラム

元徴用工問題で韓国政府の代位弁済案が浮上、日韓関係は改善されるか

2021年10月18日(月)15時44分

実際に、最近韓国では元徴用工問題を解決し、日韓関係を回復させるための新しい提案も出ている。与党「共に民主党」のイ・サンミン議員は、10月6日に開かれた韓国国会外交統一委員会のビデオ会議で「被害者中心主義に縛り付けられず、韓国政府が責任を持って、代位弁済方式で、つまり、日本政府に代わり韓国政府が元徴用工に対して賠償金を支給すると、国の自尊心も守られ、日韓関係を発展的に導くことができる」と述べながら、韓国政府の積極的な対応を促した。

※代位弁済とは、借主が何らかの理由で借金の返済ができなくなったとき、第三者または共同債務者が(保証人、連帯債務者等)借主に代わって債務を弁済することをいう。

イ議員の提案は、韓国政府が賠償金の支払いの主体となる点で、日韓企業や個人の寄付を募る方法で賠償金問題を解決しようとした「文喜相案」等とは異なる。韓国政府がこの案を受け入れて、実行すると日韓関係に肯定的な効果が表れる可能性が高い。今後韓国政府の決断が注目されるところである。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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