韓国で不動産価格が高騰し続ける理由
また同団体が1月に発表した報告書によると、ソウルの25坪のマンションの売買価格は、2003年1月の3.1憶ウォンから2020年12月現在の11.9億ウォンに、約18年間で3.8倍(8.8億ウォン)も上昇したことが明らかになった。文政権が誕生した2017年5月〜2020年5月までのソウルの25坪のマンションの売買価格の上昇率は53%に達する。さらに、政権別に見たソウルの25坪のマンションの売買価格の上昇率は(大統領に就任した年の1月と退任した年の1月までの上昇率、文政権は2017年1月~2020年12月)文政権が82%で、廬武鉉政権の83%に迫る。
同団体は年収の30%を貯蓄した労働者が、ソウルの25坪のマンションを購入するまでにかかる期間を推計しており、文政権は118年となり、歴代のどの政府よりも長くなったと主張し、現政権の不動産政策の失敗を強調した。
なぜ不動産価格は上がったのか
文政権は、就任初期から不動産価格の安定を目指し、6.17不動産対策、7.10不動産対策、8.2不動産対策等25回にわたる不動産対策を実施した。しかしながら、ソウルを中心とした不動産価格、特にマンション価格は下がるところか、むしろ大きく上がっている。なぜこのような現象が起きたのだろうか。
まず、不動産価格が上昇した原因として考えられるのが首都圏への人口集中が続いていることと、それにより住宅に対する需要が供給を上回っていることが挙げられる。ソウル特別市、仁川広域市、京畿道で構成されている首都圏の面積は韓国全体面積の11.8%に過ぎないものの、首都圏の人口は増え続け、2019年時点での首都圏の人口は全体の半分を超えた。このように首都圏の人口が増え続ける理由は首都圏の経済規模が大きくなり、雇用が量・質ともに首都圏以外の地域を上回っていることに加え、名門大学への進学率が高い高校や有名塾等の教育インフラが整備され、子供の大学進学等に有利であるからだ。
実際、2019年におけるGRDP(地域内総生産)や活動企業数に占める割合は首都圏がそれぞれ51.8%と52.5%で首都圏以外の地域非首都圏を上回っている。また、2020年に大学受験をした高校3年生1000人当たりのソウル大学に入学した学生数は、ソウル市が14人で最も多く、最も少ない忠清北道や蔚山市の3.1人より4.5倍も多いことが明らかになった。学歴社会と言われている韓国ではソウルやソウルに近接している新都市に居住することは、子供の将来のために選択すべき最優先の選択肢として認識されている。さらに一人世帯を中心に世帯数が増加したことも住宅に対する需要を増やす背景になっている。
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