トヨタが抱える憂鬱と希望 淘汰の時代に立ち向かう術とは
トヨタはグループ内に、アイシン精機、曙ブレーキ工業、デンソーなど技術力の高い部品メーカーを多数抱えている。こうした強固なグループ戦略がトヨタの強みだったが、EVシフトが進んだ場合、逆に弱みになる可能性も出てくる。しかも困ったことに、各グループ会社は安定株主対策で株式を相互に持ち合っており、これがトヨタの資本政策を困難にしている。
2015年に、トヨタが事実上の元本保証となるAA型種類株式を個人投資家向けに発行したのも、こうしたグループ会社に代わる安定株主を確保するためである。
幸いトヨタには他社にはない圧倒的な財務力があり、ひとたび決断すれば、一気に新戦略を推し進めることができる。しかも現在のトップは、サラリーマン社長ではなく創業家出身の豊田章男氏である。トヨタはバブル以降としては最大の岐路に差し掛かっており、場合によっては極めて重大な決断が必要となるかもしれない。このタイミングで創業家に「大政奉還」できていたことの意味は大きいはずだ。
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