コラム

世界は「かわいそうなロシア」を「寄ってたかって攻撃している」のか?

2022年05月20日(金)12時00分

「恐怖症」とはすなわち、合理的とは言えない恐怖を指す。たとえば、ロンドンに住んでいる誰かがクマに恐怖心を抱き、テレビでクマを見るたびに震え上がって悪夢にも見るようだったら、その人はクマ「恐怖症」と言える。だが、クマの生息する森にいる人が子連れ母グマに遭遇しないように最大限の注意を払っているのだとしたら、それは恐怖症などではなく完全に健全な自己防衛の感覚だ。

言うまでもないが、ウクライナ侵攻やこれまでの多くの悪行のせいでロシア政権を嫌悪するのは、ロシア恐怖症ではなく、自由と世界秩序を大切にする人にとっては唯一の合理的な反応なのだ。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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