「一億総中流社会」復活を阻む消費税(後編)
国民生活改善に直結する改革は封印され、その他では外圧を理由に改革を飲み込むふりをして、実のところ声高の業界団体に補助金をばら撒きその溜飲を下げる。これでは本質的な改革は何ら着手されないどころか、補助金行政だけが蔓延ることになります。その歳出を賄うために財政危機を持ち出して、国民生活に直結した社会保障費などはむしろカットされ、財源の捻出と称して消費税の増税が繰り返される(その一方で法人税の引き下げが実施されれば財源の確保ではなく、結果的には法人税減税の代替にしたに過ぎないため財政再建はいつまでたっても達成されないという事態に。消費税の法人税代替の問題提起・分析は米公文書にも残っていますがこれはまたあらためてお伝えしたいと思います)。
結果、国内の必要な改革は遅れに遅れ、内需は疲弊し、デフレ下で賃金が低迷。その煽りを受ける形で、セーフティネットが脆弱になる中で中間層は没落し、国内消費も経済活動もさらに落ち込む――非常に大雑把な話ではありますが、悪循環の1つの側面が見えてきます。株価や不動産が上がったところでこうした問題の根本的な解消にはつながりませんし、持てる者と持たざる者の格差が助長されるだけになりかねません。
昔から「菜種油と農民は絞れば絞るほど取れる」と言われますが、まだまだ庶民は大丈夫とお上も業界も思っておられるのかもしれない。しかしながら、このままでは国内経済縮小あるのみとなるおそれがあり、方向転換をするならなるべく早くに越したことはありません。分厚い中流層を維持する=格差をなるべく縮小させるための具体策を掲げるとともに、自国が抱える問題の本質的部分は自分達自身で解決するという気概と実行力を打ち出すことが経済政策には求められているはずですし、それが新の実体経済の増強、地に足のついた経済成長にもつながるものと考えます。
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