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EU、結束阻むハンガリー「封じ」に本腰...親露貫くオルバン政権に波乱の予感
すでにハンガリーには、相次ぐ法の支配の侵害から、63億ユーロ(約1兆300億円)の凍結が決定されている。2024年末までに割り当てられるはずだった10億4000万ユーロ(約1700億円)を確実に失った。「さらなる金融制裁をハンガリーに」と主張する人たちもいる。
2010年にオルバン氏が政権に復帰して以来、法の支配への違反は次々と起こってきた。欧州委員会は、欧州司法裁判所に訴えを起こすための手続きを行っていて、進行中のものもあれば、完了したばかりのものもあると、Toute l'Europeは報告している。そのような流れの中で、このメカニズムはつくられた。
コロナ禍の経済的ショックに対処するための「復興計画」からの資金等を含めると、合計で約190億ユーロ(約3兆1000億円)もの給付がブロックされているという。
ロシアの凍結資産、約2000億ユーロ
そして「最後の手段」とされているのが、各国が独自に措置を講じることだ。
ロシア制裁は半年おきに更新しなくてはならない。今年の1月にはかろうじて更新されたが、次の7月には、またハンガリーが拒否権を使うと脅迫してくるのではないかと、EUの国々は疑心暗鬼になっている。
『ル・モンド』によれば、特にベルギーは行動を起こすことができるという。なぜなら、欧州にある凍結されたロシア資産、約2000億ユーロ(約33兆円)の大半は、ベルギーに拠点を置く国際決済機関「ユーロクリア」が管理しているからだ。その場合、ベルギーはパートナー国に、経済、金融、法律上のリスクを分担するよう求めることになるだろうという。
さらに欧州委員会は、中国の電気自動車メーカー比亜迪(BYD)が、ハンガリーで電気自動車を組み立てるために、違法な中国の補助金を受け取ったとされる件の調査開始を検討しているという。中国はハンガリーの主要投資国の一つである。ちなみにハンガリーの経済は、ドイツの自動車下請け産業に依存しているという専門家の指摘がある。
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