コラム

危機下のウクライナに「ヘルメット5000個」 武器提供を拒むドイツの苦悩

2022年01月29日(土)08時55分

もし台湾有事になれば、台湾でもウクライナと同じような声があがるかもしれないと考えるのは、不自然ではないだろう。ただ、日本と台湾の関係は全体的に良好であり、友好国だと言える。より複雑になるのは、おそらく朝鮮半島のほうだろう。

朝鮮半島有事がもし起きたら、韓国(や北朝鮮)の人々は、日本に対してどのような反応や要求をするのだろうか。日本はアメリカの下僕に徹して黙って従って、全部アメリカのせいにすれば安全だろうか。でも、そんなことは無理だろう。アメリカは超重要でも、しょせん遠い国であり、紛争の現場や近辺ではないのだ。

日本国内の声は、相手国の声を反映して、さらに一層、意見が割れに割れるだろう。

ジレンマに直面したドイツは、ウクライナへの政治的支援を強調して、重傷者用の人工呼吸器ののちに、野戦病院を来月に納入すると発表した。

医療の協力を好む......これもまたドイツと日本は似ている。しかし、このような緊張下になったとき、それで相手国の人々は納得するのだろうか。それとも重くて忘れられていない過去があるからこそ、今度はきっぱり戦争介入を拒否するべきだろうか。

ドイツの苦悩が、遠くない将来、日本のものとなる日は来るのか。突きつけられる問いは、確かに相手国や同盟国の声はとても大事だが、究極には「私の国をどうしたいのか、私の国はどうあってほしいのか」となるだろう。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出合い、EUが変えゆく世界、平等と自由。社会・文化・国際関係等を中心に執筆。ソルボンヌ大学(Paris 3)大学院国際関係・ヨーロッパ研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。編著に「ニッポンの評判 世界17カ国最新レポート」(新潮社)、欧州の章編著に「世界が感嘆する日本人~海外メディアが報じた大震災後のニッポン」「世界で広がる脱原発」(宝島社)、連載「マリアンヌ時評」(フランス・ニュースダイジェスト)等。フランス政府組織で通訳。早稲田大学哲学科卒。出版社の編集者出身。 仏英語翻訳。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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