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地球の自転で発電する方法が実証される──「究極のクリーンエネルギー」実用化の可能性は?
自転エネルギーを私たちが利用可能な電力という形に変換するには、ファラデーが1831年に発見した「電磁誘導」という現象が鍵を握ります。この現象は「磁場の中で導体(電気を通す物質)が動くと、導体に電流が流れる」というもので、現代でも火力、水力、原子力などほぼすべての発電の基礎原理となっています。
ファラデーは10年に及ぶ実験で電磁誘導現象に確信を持つと、すぐに「地球は大きな磁石だから、導体をその中で動かせば地球自身をエネルギー源として発電できるのではないか」と考えました。しかし、いくつかの検証実験を行っても検出される電流、電圧の値は安定せず、実験は失敗に終わりました。
その後、20世紀にかけて、自転エネルギーの取り出しは何度も議論されます。しかし、「磁場を生み出す物体(地球)と導体(地球上に設置されている装置)は同じ速度、方向に回転運動しているので、結局動きは帳消しとなり電流は得られない」と考えるのが定説となっていました。
今回話題となっているプリンストン大の研究者たちは、以前から装置を中空にしたり材料を工夫したりすることで、地球と装置の動きに微小なズレを生じさせて自転エネルギーから発電させる方法を模索していました。
理論の検証のため、彼らは導体としてマンガン亜鉛フェライトでできた長さ29.9センチの中空シリンダーを準備しました。光の影響を受けないために真っ暗な実験室で、地球の自転と地磁気の両方に垂直になるような位置に装置を置いて計測したところ、数マイクロボルトの電圧が測定されました。
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