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気象予報AIはスパコンの天気予報より優秀? Google関連会社の10日間予報が精度とスピードで圧倒
GraphCastは、大型ハリケーン「Lee(リー)」のカナダ・ノバスコシア州上陸を従来の数値天気予報より早く予測した(画像は9月16日、カナダ東岸に迫るLee) NOAA/Handout REUTERS
<Alphabet傘下の人工知能会社「DeepMind」は、開発した気象予報AIモデル「GraphCast」を欧州中期気象予報センター(ECMWF)が運用する世界最高クラスの予報モデルと比較。その結果、10日間予報でより高速かつ高精度に天気を予測できたと発表した。AIモデルの可能性を、現在の主流である数値天気予報の歴史とともに概観する>
近年は、世界各地で猛暑や豪雨、干ばつなどの異常気象がニュースになっています。「50年に1度の大雨」「観測史上最高気温」などのフレーズは、もはや珍しいことではなくなりました。
自然災害から地域社会を守るためには、正確で迅速な天気予報が鍵となります。
現在は様々な予報期間、予報区域の天気予報が、各国の政府機関や民間の気象会社によって発表されています。日本では一般に、現在から明後日までは「短期天気予報」、48時間から7日以内は「中期天気予報」、1カ月、3カ月、暖候期、寒候期などの期間予報は「季節(長期)天気予報」と呼ばれています。なかでも中期天気予報は、台風の進路や大雨の程度を予想することで河川氾濫や土砂崩れに備えるなど、地域の被害を軽減するために実践的に使われます。
Googleの親会社であるAlphabet傘下の人工知能会社「DeepMind」は、開発した気象予報AIモデル「GraphCast」が10日間予報で欧州中期気象予報センター(ECMWF)の予報モデルよりも高速かつ高精度に天気を予測できたと発表しました。研究成果は、14日付の米科学学術誌「Science」に掲載されました。
20世紀以降の天気予報の精度の高まりは、コンピューターの発展の歴史でもあります。果たして気象予報AIは、現在の主流であるスーパーコンピューター(スパコン)を利用した数値天気予報に取って代わる可能性があるのでしょうか。数値天気予報の歴史とともに概観しましょう。
コンピューターの性能向上とともに発展
行政機関や企業が業務として行う天気予報は、①気象観測、②数値計算、③予報という三つのステップで成り立っています。
気象庁の天気予報を例に取ると、①静止気象衛星や気象レーダー、全国約1300カ所に配備した地域気象観測システム(アメダス)などによって、大気の状態や雲の分布、降水量、気温、日照時間などを実際に測定し、②実測データを用いて、コンピューターで今後の大気や海洋、陸地の状態の変化を数値シミュレーションします。そして、③予報官がシミュレーションの結果を解析して天気の変化を予想し、天気予報や大雨警報などの各種気象警報を発表します。
日本ではかつては、一般の人が新聞やテレビなどで見ることができる天気予報はすべて気象庁が発表したものでしたが、1993年に気象業務法が大幅に改正され「天気予報の自由化」が起こりました。気象庁以外の民間気象会社が独自の天気予報を発表できるようになったため、予報の技術水準と信頼性を担保するために「気象予報士」の国家資格も創設されました。現在、民間会社は、ピンポイント地点の天気予報や、紫外線や花粉の量の予報など、工夫をこらした独自予報を実施しています。
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