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「カルタヘナ法」違反で初逮捕 遺伝子改変メダカとメダカブームの道のり
2000年代前半に品種改良が盛んになり、07年の「幹之(みゆき)」の登場で高級メダカブームに(写真はイメージです) Koichi Yoshii-iStock
<高値で販売されていた「赤く光るメダカ」はどのようにして市場に現れたのか。品種改良の歴史と高級メダカブーム、野に放つ危険性とともに紹介する>
赤く発光するように遺伝子を組み換えたメダカを未承認で飼育、販売したなどとして、警視庁生活環境課は8日、カルタヘナ法違反容疑で60~72歳の男5人を逮捕したと発表しました。2004年に施行された同法違反での逮捕は、全国初のことです。
カルタヘナ法は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の通称で、00年に採択された生物多様性条約「カルタヘナ議定書」を日本で実施するために立法されました。研究室などの閉鎖された場所以外で遺伝子組換え生物を扱う場合は、生態系への影響がないことを証明し、主務大臣(環境大臣ら)の承認を得ることなどを義務付けています。
同日、環境省は、①昨年3月に遺伝子組換えの疑いのあるメダカが都内イベントで販売されていたと通報を受けたこと、②6~10月に行われた警視庁の捜査に同席し、使用者に口頭で指導したこと、③本日、警視庁からカルタヘナ法違反検挙についての情報提供があったことなどを発表し、関係各所に再発防止のための周知依頼を行いました。また、遺伝子組換えが疑われるメダカを飼育している場合は、絶対に河川等に放すことなく、近くの環境省地方環境事務所まで相談してほしいとホームページで呼びかけています。
本来いないはずの遺伝子改変メダカは、なぜ市場に現れ、全国初の罪に問われたのでしょうか。事件とメダカブームについて概観してみましょう。
紫外線を当てると赤く光る、天然にいない品種
警視庁によると、5人はいずれも愛好家で、21年7月~22年8月に承認を得ずに遺伝子改変メダカ合計約70匹を飼育したり、販売目的で運んだりした容疑がかけられています。うち1人は、22年7月頃に警視庁が捜査していることを知って、約20匹を千葉県九十九里町の自宅近くの用水路に廃棄したと供述しています。同課などが用水路を調査しましたが、今のところ生態系への影響は確認されていないそうです
5人はいずれも容疑を認めているといいます。
今回の遺伝子改変メダカは、人工的に導入された蛍光タンパク質を全身に発現しており、紫外線を当てると赤く光る、天然にはいない品種です。東京工業大の基礎生物学研究所が、日本在来種のミナミメダカ(学名Oryzias latipes)にloxP 遺伝子(バクテリオファージ P1 由来)、蛍光タンパク質 DsRed 遺伝子(イソギンチャクモドキ珊瑚由来)、蛍光タンパク質 GFP 遺伝子(オワンクラゲ由来)、転写調節配列(SV40 ウイルス由来)を与えて作成しました。もともとはメダカのヒレなどの再生を研究する目的で遺伝子を組み込んだもので、09年3月に正式な手続きを踏んで同大淡水魚飼育室が譲り受けました。
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