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オスだけ殺すタンパク質「Oscar(オス狩る)」のメカニズムが解明される
ボルバキアに感染した母親が生んだ卵からはメスばかりが生まれる。写真はチョウ目で「オス殺し」が報告されているアワノメイガ Tomasz Klejdysz-iStock
<共生細菌ボルバキアが持つ昆虫のオスだけを殺すタンパク質の仕組みが、東大の研究チームによって解明された。宿主の昆虫種や戦略上の理由、ヒトの生活との接点とは>
東大大学院農学生命科学研究科の勝間進教授らの研究チームは、オスだけを狙って殺すタンパク質を同定し、メカニズムを解明したと発表しました。研究成果は14日、オープンアクセスの学術誌『Nature Communications』で公開されました。
「Oscar(オス狩る)」と名付けられたこのタンパク質は、昆虫の体内でよく見られる共生細菌のボルバキアが持つものです。
ボルバキアは感染した宿主(昆虫)の生殖システムに対して、オスのみの死、オスのメス化など様々な操作をします。「共生細菌」と呼ばれていますが、宿主の性を自己の増殖に都合の良いように変化させる「性決定システムの乗っ取り」を行う「侵略者」とも言えます。
今回の研究と、ボルバキアの性状やその活用について概観しましょう。
4種類の性・生殖操作で繁殖を有利に
ボルバキアは65%以上の昆虫種に感染している共生細菌です。宿主の様々な器官に感染しますが、卵巣にはほぼ確実に存在しています。ミトコンドリアのように母から子に伝わる性質を持つため、ボルバキアが次世代に子孫を伝えるためにはメスに感染しなければなりません。
研究が進むにつれ、ボルバキアは宿主の昆虫種によって異なる4種類の性・生殖操作を行って、自己の繁殖が有利になるようにしていることが分かりました。
ボルバキアが行う宿主の性・生殖操作は、次の通りです。
①細胞質不和合:感染していないメスの繁殖を感染したオスが妨害する
②単為生殖:メスがオスなしで子孫を産めるようにする
③性転換:遺伝的にオスである宿主をメスに変える
④オス殺し:オスの卵のみ発生初期に殺し、メスだけが生まれるようにする
この細菌は1924年にMarshall HertigとS. Burt Wolbachによってアカイエカから発見され、36年にHertigによって正式にWolbachia pipientisと命名されました。しかし、その後数十年間は、ほとんど注目されませんでした。
ボルバキアが再注目されるのは、71年にアカイエカにおいて、ボルバキアによる「細胞質不和合」が観察されたことがきっかけです。これは、ボルバキアに感染したオスと感染していないメスとの交配でできた卵は殺される(発生しない)が、感染したメスの卵は正常に孵化するため、結果的に感染したメスの割合が集団内で高くなっていくという仕組みです。その後の研究で、細胞質不和合はボルバキアが起こす宿主の生殖操作として最も一般的であることが分かりました。
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