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「鑑真が持ってきた36種が今日の漢方薬の源」との研究結果 日本の漢方医学の歴史
岡山大グループによると、鑑真は仏典だけでなく、多くの漢方薬と組み合わせレシピ、香辛料、医学書も日本に持ってきたと言います。これまでは、984年に編纂された現存する日本最古の医学書『医心方』に鑑真がもたらした漢方処方の一部が記載されていましたが、全容は不明でした。
同大で研究していた劉詩卉(Liu Shihui)博士は、在任中に現代中国の廃版書籍『三宝問世(鑑真秘伝三宝)』を見つけ、その中に鑑真が日本にもたらした漢方薬の全容が記載されていることを確認しました。さらに、著者の「雷雨田」は、鑑真が日本にもたらした漢方薬36種と同じセット(鑑上人密方)を代々受け継いできたことが分かりました。
36種の漢方薬の内訳は、芍薬(シャクヤクの根)、山梔子(クチナシの実)、杏仁(アンズの種)半夏(カラスビシャクの塊茎)、厚朴(ホオノキの樹皮)、旋覆花(オグルマの花)などです。
いずれも現代でもよく知られている漢方薬で、たとえば芍薬にはペオニフロリンという有効成分が含まれており、鎮痛、抗炎症、抗けいれんなどの様々な効果があるとして、月経困難症に「当帰芍薬散」「芍薬甘草湯」を保険適用で処方する医師がいます。
『三宝問世』では、鑑真が日本にもたらしたとされる1200のレシピにも言及しています。けれど、著書まで52代を経るうちにいくつかは失われ、現存するものは766と言います。
漢方薬にまつわる誤解と課題
漢方医学は哲学的な思想と経験の集積を基盤としており、体質改善などに力を発揮します。自然科学から発祥し、外科的な処置や即効性に優れた西洋医学とは対照的ですが、近年は漢方医学や漢方薬に対して科学的な根拠を説明する研究も進められています。世界保健機関(WHO)から勧告される疾病、傷害及び死因の国際統計である「国際疾病分類(ICD)」では、2019年の第11改訂(ICD-11)から伝統医学分類が新たに加えられ、西洋医学と漢方医学、中医学、韓医学などの共存も注目されています。
日本で、漢方薬が初めて保険適用になったのは1967年のことです。当時の日本医師会会長で、後に世界医師会会長にもなった武見太郎氏の後押しにより、まず4種類の漢方薬で健康保険での処方が認められました。武見氏は、自身も漢方薬を愛用していました。
現在、漢方薬と言えば、昔のように天然の植物・動物・鉱物を原料とする「生薬(しょうやく)をそのまま煎じて飲むのではなく、様々な生薬からエキスを抽出して粉末状にして複数種類を組み合わせることが大半です。現在、保険適用が可能な漢方薬は148方剤あります。
ただし、漢方薬にはいくつかの誤解や課題もあります。
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