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「鑑真が持ってきた36種が今日の漢方薬の源」との研究結果 日本の漢方医学の歴史
まず、町やネットに店舗がある漢方薬局は、医師免許のない人が開いている場合も多く、アドバイスを受けて購入しても保険は適用されません。西洋医学の薬と同じように、医師の診察を受けて、定められた148方剤の処方箋を書いてもらってはじめて保険が適用されます。
次に、「漢方薬は天然素材だから副作用がない」と思っている人も一定数います。漢方薬は一般的に薬効が穏やかで副作用も弱いものが多いですが、生薬の動植物自体に対するアレルギーが現れる場合や「飲み合わせ」の難しさがあります。特に甘草は多くの漢方薬に配合されているため、過剰に摂取すると血圧上昇、手足のだるさ、しびれ、こわばりなどが引き起こされる可能性が高まります。
漢方薬は材料が天然素材であるため、国内自給率は1割強のみで、原料の8割を中国から輸入しているという問題もあります。近年は中国の経済発展などの影響で原料費が高騰し、漢方薬の製造から手を引く業者も現れています。高騰と安定供給の難しさへの懸念などから、政府では「漢方薬は保険適用から外すべき」という議論もしばしば起こっています。
健康保険を使えなくなると、値段の面だけでなく医師の選択肢に入りにくくなるので、漢方薬の恩恵を享受できる国民はかなり減少するでしょう。漢方薬は、高齢化社会での生活の質の向上や、ストレスやホルモンバランスの乱れの緩和などにも期待されています。西洋医学と漢方医学は得意な分野が異なる、補い合う関係とも言えるので、科学的な研究などの後押しによって、国民が安心して受けられる診療や処方の選択肢が増えるといいですね。
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