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Googleに挑む男から見たAIの今と未来 PerplexityのAravind Srinivas氏
(写真はイメージです) Deemerwha studio-Shutterstock
<情報検索の方法がこれまでと大きく変わろうとしている>
「Google相手に戦う!?せいぜい頑張れよ。じゃあな」。米シリコンバレーのAIスタートアップPerplexityのCEO、Aravind Srinivas氏は、自分の事業計画がほとんど誰からも相手にされないのは分かっていた。それでもAI研究者として、この領域に挑戦したい。そう考えた。
AIの進化を受けて、情報検索の方法がこれまでと大きく変わろうとしている。検索エンジンの結果ページに表示されたリンクの中から、自分の問いに関連ありそうなものを順番に当たっていかなくても、ChatGPTに質問をぶつければ答えが直接返ってくる。情報検索の新時代の幕開けだ。
数人で始めたチャット型AIのPerplexityはなかなかの評判で、利用者も急増していた。大きな資金調達をして事業を加速させよう。でもその前にシリコンバレーの有力者たちに相談して回った。ほとんどの人の意見は「そろそろ1つの業界に絞って、その業界専門の情報検索ツールを目指すべき」というものだった。1つの業界に特化すべきか。Googleを敵に回してでも、どんな質問にでも答えることのできるツールを目指すべきか。1つの業界だけを攻めるという垂直の戦略か、すべての業界を攻める水平の戦略か、という選択だ(36:13)。「正直、悩んだ」とSrinivas氏は言う。
そんな中、一人だけ多くの人と真逆のアドバイスをくれた人がいた。史上初ブラウザで一世を風靡したネットスケープの創業者で、著名ベンチャーキャピタリストのMarc Andreessen氏だ。「垂直戦略で行くと失敗は確定だ。水平戦略でも失敗する可能性は高い。でも失敗が確定するわけじゃない」(37:13)とAndreessen氏は語ったという。
Andreessen氏によると、Googleの成功を受けて、業界や領域に特化した検索エンジンが無数に出てきた。しかし特化型検索エンジンはことごとく失敗した。生き残っているのは、コミュニティや使い勝手など、検索エンジン以外の部分を工夫し、価値を作り出したところだと言う。検索対象領域を狭めることで、検索エンジンとしての性能は低下した。他の領域との境界部分の情報をうまく検索できなくなり、結局特化型検索エンジンの利用者が減る結果になったようだ。
自分の情熱はどこにあるのか。注力したい特定の領域があるのか。それとも情報検索に注力したいのか。AIを研究してきたのだから「情報検索の仕事をしたい」。そう思って、Googleという巨人が存在する領域にあえて踏み出したのだと言う。
ChatGPTを開発したOpenAIは、ChatGPTの基盤となる大規模言語モデルの改良に力を入れている。基盤モデルを活用したアプリの1つに過ぎないChatGPTの改良には、それほど興味がないように見える。Googleのようにリンクを表示するだけでもユーザーに優しくないし、かと言ってあらゆる問いに対してすべて文章で答えるのも違う。スポーツの結果や株価などの情報は、文章よりも表やグラフを提示するほうが分かりやすいだろう。「情報提供の最良の方法を日々探し続ける必要があるんだ」(3:07)と同氏は語る。そうすることでGoogle検索やChatGPTよりも、ユーザーにとって使いやすいサービスを作れるのではないか。そう考えた。
ユーザーにとっての価値がすべてなので、自社開発の大規模言語モデルにはこだわらない。今はオープンソースのモデルを改良するなど実験を繰り返す一方で、OpenAIの最新の大規模言語モデルGPT-4や、GPT-4を超えたと話題のAnthropic社の最新大規模言語モデルClaude 3なども早速取り入れている。ユーザーからの問いの理解には、こうした大規模言語モデルを利用し、それ以外のタスクにはオープンソースの中規模モデルを改良したものなどを組み合わせて使っているという。ネット上では大規模言語モデルの開発競争に参加しないので、技術力の劣るAIスタートアップのように揶揄されることがあるが、技術開発競争をするよりも、いいサービスをユーザーに提供したいのだと言う。
以上、Perplexity CEO: Disrupting Google Search with AI(https://www.youtube.com/watch?v=57LqvutrOI8)というインタビュー動画を物語風にまとめました。
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