原油先物は下落に転じる、貿易戦争の影響見極め

4月16日、アジア時間の原油先物はほぼ横ばい。米国の貿易政策により不透明感が高まる中、投資家は米中貿易戦争が経済成長とエネルギー需要に与える影響を見極めようとしている。写真は2024年6月、仏トリゲールで撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)
Yuka Obayashi
[東京 16日 ロイター] - アジア時間の原油先物は小幅な下落に転じた。米国の貿易政策により不透明感が高まる中、投資家は米中貿易戦争が経済成長とエネルギー需要に与える影響を見極めようとしている。
0315GMT(日本時間午後0時15分)時点で、北海ブレント先物は0.18ドル(0.3%)安の1バレル=64.49ドル、米WTI先物は0.16ドル(0.3%)安の61.17ドル。前日はともに0.3%下落していた。
国際エネルギー機関(IEA)は15日公表した月報で、貿易摩擦の激化を理由に今年の世界の石油需要見通しを大幅に下方修正。新たな予測は日量73万バレル増で、5年ぶりの低い伸びとなる。米国の生産の伸びも鈍化すると指摘した。
IGの市場ストラテジスト、イェップ・ジュン・ロン氏は「原油価格の下落傾向はなお続いており、関税撤回を巡る当初の楽観論は薄れ、今後の経済指標を巡るマクロ経済の逆風により市場はより厳しい現実に戻る可能性がある」と述べた。
エモリファンドマネジメントの江守哲最高経営責任者(CEO)は、IEAが指摘したように需要の伸びは小幅にとどまる可能性が高く、原油需給の不均衡が市場の重しとなっていると述べた。
また、現在関税による圧力を受けている株式市場が反発すれば、WTIは65ドルを上回る可能性があるものの、そうした支援材料がなければ、60ドル台前半にとどまるだろうと語った。