コラム

AIクラウドの覇者が史上最大の企業になる!?

2018年04月06日(金)13時30分

Googleは、自動走行車に取り組むなど、AI企業のイメージが強い。それにGoogle検索などのサービスを通じて、豊富なデータを持っている。

AIベンチャーScaleのAlexander Wang氏は「Googleは圧倒的にいい立ち位置にいる。データも豊富に持っているし、トップレベルの機械学習の研究者も抱えている」と語っている。

Amazonは、情報をあまりオープンにしない企業なのでGoogleほどAI企業のイメージはないが、実は非常に多くのAI研究者を雇用しているという話を聞いたことがある。倉庫内のロボットにはもちろん最先端のAIを搭載しているし、クラウド・コンピューティングのシェアでは同社のAWSがダントツの首位。Microsoft、IBM、Googleのシェアを合わせても24%なのに、Amazonは一社で34%のシェアを誇っている。

また米国のAIスピーカー市場は、Amazonが独占状態だ。

Iterate StudioのJon Nordmark氏によると、AIベンチャーの買収に最も熱心なのがAmazonで、過去2、3年で、Googleの2倍、Microsoftの4倍の資金を投入しているという。(MIT Technology Review)

AIクラウドの戦国時代は始まったばかり。どこが勝利するのかは、まだまだ分からない。MIT Technology Reviewの言うように、覇者が史上最大の企業になるのかどうか、個人的にはよく分からない。

ただパソコン時代には覇者であるMicrosoftが小さな企業の生殺与奪権を持ち、モバイル時代には覇者であるGoogleとAppleの動きに、アプリメーカーは右往左往したように、AIクラウド時代は、これまでにも増して大きな影響力が覇者に集中することになりそうだ。この三つ巴の戦いの行方をしっかりと見守っていく必要があるだろう。

【著者からのおしらせ】湯川鶴章が主催する少人数制勉強会TheWave湯川塾、45期のテーマは「アジアの猛者」。ものすごいエネルギーの講師を集めました。刺激を受けて心を振るわせたい塾生募集中

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、ガザ住民受け入れ巡りアフリカ3カ国

ビジネス

ECBの4月据え置き支持、関税などインフレリスク=

ビジネス

中国新規銀行融資、予想以上に減少 2月として202

ビジネス

独BMW、関税戦争が業績10億ユーロ下押しへ 24
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 10
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story