コラム

自主性のない部下より、自主性のない上司が増えている

2018年12月11日(火)13時30分

ですから、

「もっと自主性を発揮したまえ」

と上司から叱責されると、

「自分なりにやってますよ」

と心の中で部下は反論します。どこまでやったら上司の期待値を上回るのか、明確になっていないからです。

私は講演などでよく『理解=言葉×体験』と話します。言葉だけでは相手に伝わりません。体験をともなってはじめて理解できるものです。

どこまで自主性を発揮したら、上司が物足りないと思わなくなるのか。その体験をしなければ、部下も理解しようがないのです。

したがって部下の理解を促すには、「自主性を」とばかり言ってないで、「強制」することも必要です。

自主性のない上司

私が驚くのは、部下ではなく、上司の態度のほうです。

「横山さん、これだけ言っても、主体的に動こうとしない。そんな部下をどう思いますか。まるで自主性がないでしょう?」

同意を求めてくるマネジャーはたくさんいますが、私はバッサリ切り捨てることがあります。

「自主性がないのは、上司であるあなたのほうです」

と。

たとえば先述したように、

「部下の理解を促すには、自主性をとばかり言ってないで、強制することも必要です」

と助言しても、いっこうにやらない。私ども外部のコンサルタントが経営者とともにマネジャーたちに圧力をかければ、渋々やることもありますが、放っておくとやりません。

部下の愚痴をグズグズ言ってるだけで、まるで自主的に動こうとしない。マネジャーとしての「あり方」を理解していないのです。

自主性のない部下は、いつの時代でも同じ量、同じ配分で存在します。時代とともに変わっていくのは、その部下に対して自主的に関わろうとする上司の数です。

少子高齢化の時代となり、部下の数に比べて上司の数が著しく増えました。組織でいうと、「下」ではなく「上」が重たくなったのです。

組織の行動力が落ちた真因は、自主性のない上司の責任です。部下が自主的に動かないのは、部下の責任ではなく、その上司の責任。マネジャーが自分事ではなく、他人事のようにふるまっているから組織力は落ちるばかりです。部下の自主性を問う以前に、自分自身の自主性、問題意識、危機感を自問自答すべきですね。

(アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長)

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story