コラム

一般企業のマネジャーの9割がAIに置き換えられる理由

2018年07月24日(火)17時18分

どんなに客観的なデータに基づく事実を示しても、「そんなやり方でうまくいったなんて、見たことも聞いたこともない」と一蹴するマネジャーは、どこの企業にもいます。というか、ほとんどのマネジャーは、自分の感覚的な判断材料で意思決定をしているのです。

その点、AIには思考のクセがありません。過去の体験に基づいてできあがったフィルターや認知バイアスがない。マネジャーの思考にバイアスがかかっておらず、正しいデータをもとに意思決定しているのであれば、マネジャーが言うことを素直に聞き入れる部下も増えることでしょう。マネジャーに求められる大切な要件は、論理的思考能力以前に、素直さ、誠実さだからです。

ほとんどのマネジャーが抱える3つの問題点

現場で見ていると、マネジメントをするうえで出てくる問題は、たいてい以下の3つに集約されます。

● 決めたことを「やらない」

● 決めたことを「やるのが遅い」

● 決めたことを「やり続けない」

セミナーなどで年間5000名を超えるマネジャーと接しますが、マネジャーたちの悩みは、ほぼこの3つです。目標達成させるためのいいアイデアが浮かばない、などとアンケートに書く人はほとんどいません。アイデアや仮説が正しいかどうか以前に、部下が言うことを聞かない。主体性に欠ける部下に手を焼いている、という悩みが大半なのです。

一部の天才的な人が生み出す発想をAIに求めるのは、まだ難しいでしょう。しかし過去の膨大なデータを組み合わせて、精度の高い仮説を立案することはもう可能です。柔軟な姿勢で、部下に行動変容を促すコミュニケーションをすることもできるでしょう。

マネジャーに求められるのは、何といっても「凡事徹底」だからです。

「統制範囲の原則(スパン・オブ・コントロール)」から考えれば、ひとりのマネジャーが統制できる範囲は5~10人程度と言われています。しかし、AIがマネジャーになれば、この概念を超えると私は予想します。それに、多くの企業が抱えている悩みは、マネジメントルールが統一していないことです。「福岡の支店長が名古屋の支店長になったら、とたんに名古屋の成績がアップした」「本社の課長が、仙台の営業所長になったら、仙台営業所の離職率が高まった」ということは、どこの企業にも起こっています。マネジャーが独自のやり方をし、それを会社が統制できていないのです。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story