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一般企業のマネジャーの9割がAIに置き換えられる理由
部下も、相手がAIであれば、
「そうは言われても、できないときだってありますよ」
「最近、いろいろあって大変なんです」
といった、中途半端な言い訳は通用しないとわかります。
「この行動計画が策定されてから1カ月間の、あなたの業務履歴がここにあります。1日平均1時間30分の使途不明時間があります。その使途不明時間を1カ月に換算すると30時間にのぼります。これだけの時間がありながら、行動できなかったという理由は単純明快です。面倒くさいと思ったからにほかなりません。本件によく似たケースを他企業の10万を超える事例で調査し、心理傾向を割り出しました。いかがでしょうか?」
まったく反論できない語り口で言い返されるとわかっていたら、反論する気持ちも萎えます。そして、相手の性格を考えたうえで、このように諭すこともAIには可能でしょう。
「1カ月前、会議中にあなたは『必ずやります』とみんなの前で宣言しました。もちろん、宣言したからといって、できないときもあるでしょう。しかし工夫することはできたはずです。ご自身で工夫できないときは、私に質問してください。100億を超える過去データから、いくつかの解決策を提示できる自信があります。組織の目標を達成させるために、あなたの力が必要です。達成するかどうかは別にして、決めた行動はやりませんか。どうぞよろしくお願いします」
......と。
こう言われて部下が「ムリなものはムリなんです!」と反論しても、マネジャーは生身の人間ではありませんから、
「こんなに言ってもわからんのか。もういい! 勝手にしたまえ」
などと捨て台詞も言ってくれません。部下が折れるまで、そしてパワハラにならないギリギリの執拗さで、時にはソフトタッチに、時にはハードな味付けで、AIマネジャーは諦めることなく、部下をフォローし、フィードバックしてくることでしょう。
最大の長所は、AIに「思考のクセ」がないこと
人間の思考プログラムは、過去の体験の「インパクト×回数」でできあがっています。過去の体験が多ければ多いほど、実績があればあるほど、思考プログラムが硬化していくのです。するとクセの強い独自のフィルターで物事を見るようになり、これが「先入観」を強くさせます。私はこれを「思考のクセ」と呼んでいます。
年齢を重ねるほどに、思考のクセは強くなっていきます。つまり認知バイアスがかかり、物事を素直に評価できなくなっていくものです。
「最近の若い子は何を言ってもダメだね。親が悪いんだよ」
「当社は特殊ですからね。他の業界ではうまくいっても、ウチの会社でそういうやり方は通用しないよ」
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