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賭けに負けたマクロン大統領の四面楚歌
マクロン大統領の危険な賭けは失敗に終わった...... MOHAMMED BADRA/REUTERS
<「極右」首相とマクロン大統領の野合政権の誕生という最悪の事態は辛うじて回避できたが、あと3年の任期を残すマクロン大統領はレームダック化し、フランス政治は混乱と停滞の時代に入っていくだろう>
7月7日に行われたフランス議会下院議員選挙第2回投票(決選投票)は、左翼連合の新人民戦線がおよそ1/3の議席を獲得して第1党となり、マクロン与党が3割弱の議席を獲得して第2位、「極右」とされる国民連合と同調勢力のブロックがおよそ1/4の議席を獲得して第3党という結果に終わった。
連立政権の模索
この状況では、各党単独政権はあり得ず、複数の政党による連立政権という道しかない。
日の出の勢いであった国民連合は、失速し、過半数に届かなかった。その場合野党にとどまることを、事前にバルデラ党首は公言していたので、バルデラ首相の誕生という事態は避けられた。他の政党と連立を組むということも、まったく考えられていない。
第1党に躍り出た新人民戦線も、善戦したマクロン与党も、同じく過半数に至らず、単独政権は無理という状況だ。両党は反極右で一致するのみで、政策面では大きな隔たりがある。特に新人民戦線を構成する「不服従のフランス」とマクロン与党は、水と油の関係にあり、連立はあり得ない。
緩やかな政治協力連合
そうしたことから、現在考えられる連立のシナリオは、2つである。
第1のシナリオは、マクロン与党を中心に、左は社会党と環境派から、右は共和党までの間で、緩やかな政治協力連合(可能な範囲でのみ協力する消極的連立)を組むことだ。マクロン大統領はこのシナリオの実現を模索するだろう。
第2のシナリオは、第1のシナリオから、右は共和党を外し、左は共産党を含めた、左寄り連合で、緩やかな政治協力連合(可能な範囲でのみ協力する消極的連立) という点は変わらない。
首相と内閣については、いずれのシナリオの場合も、「アタル首相の続投+各党の寄り合い所帯内閣」となるか、「実務家首相+行政管理内閣」(イタリアモデル)、となることが想定される。第2のシナリオの場合は、左派の首相という線もあり得るが、可能性は低い。
いずれのシナリオも実現できず、連立そのものが実現できない場合は、最低限の解決策として、連立なき「実務家首相+行政管理内閣」となることもあり得るだろう。
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