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賭けに負けたマクロン大統領の四面楚歌
不安定な議会、不安定な政権、レームダック大統領
いずれにせよ、緩やかな政治協力連合(可能な範囲でのみ協力する消極的連立)にとどまるのは、各党間にそれ以上の協力をするインセンティブもなければ、政策面でのコンセンサスもないからだ。その結果、議会に安定的・永続的な多数派なし、という状況は変わらない。首相と内閣は、議会の不信任決議で内閣総辞職というリスクに晒され、極めて不安定な政権とならざるを得ない。
そうした状況の中で、各党は、必要に応じその都度政策で協力はするが、その実体は妥協だ。妥協して、各党が合意可能な政策のみ実行する。しかし、各党間の対立で、合意に至るのは容易ではなく、政治的な混乱と停滞がもたらされることは間違いない。
一方マクロン大統領は、内政における指導力を失って単なる調整役にすぎなくなる。レームダック大統領と言われても仕方がない。ただし、大統領専権事項である外交は別で、マクロン大統領は今後、外交に専念することが多くなるだろう。その意味で、フランス外交に大きな変化があるとは考えにくい。
極右 vs 反極右
国民連合は、最後の決戦投票の段階で失速し、議席数の面で抑え込まれた。
その要因は、反極右の大同団結・包囲網の形成(共和国戦線)と、極端な主張をする政党に不利に働く選挙制度(小選挙区2回投票制=候補者を2人に絞り込み、有権者は二者択一の中でよりマシな候補を選択)にある。
しかし、本当に国民連合を抑え込めたわけではない。投票数(第1回投票)ベースでは1/3を占め、第1位の勢いだったからだ。
ここまで国民連合が勢力を増した背景には、「極右」に対する国民意識の変化がある。国民連合が脱悪魔化したことを認め、これまでのように「極右」と見なさなくなった国民が増加したのだ。こうして、これまで「極右」と呼ばれてきた国民連合を「極右」と見なさなくなった国民連合の支持者と、依然として国民連合を「極右」と見なす「反極右」共和国戦線支持者の間で、分断が深まったのだ。
この「極右」と「反極右」の戦いの決戦は、3年後の大統領選挙に持ち越された。本番は大統領選挙となる。国民連合の大統領候補であるルペン前党首にとっては、総選挙で勝利とはならなかったが、最大野党のポジションは、大統領選挙を狙うには極めて好都合だ。
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