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ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

ミャンマー軍による一週間の停電発表、その後

筆者撮影

皆さんこんにちは。
ミャンマー最大都市ヤンゴンから新町がお届けしております。
昨日は軍の1週間停電発表が実際どんなものだったのかという事をお伝えしました。
今回はそれに伴い私なりに調べた結果やそこからの考察などをお話できればと思います。
昨日の記事を読んでいない方は先にそちらを読んでいただいた方がわかりやすいと思いますのでよろしくお願いします。

ミャンマー軍の発表した1週間、24時間の停電発表の行方

お知らせです。
毎週火曜日、日本時間21時より
「ミャンマー言いたい放題ラヂオ」という配信をしています。

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配信は主にclubhouseで、最近はその他SNSなどでも同時配信しています。
ミャンマー現地から、そして東京外大ビルマ語学科の学生と共にミャンマーについて語り合う番組となっています。
情報アップデートを含めミニコーナーやメインテーマなどもあります。
是非一度聴いてみてください。

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それでは本題です。
昨日の記事の最後に書きましたが、先日の1週間の停電発表の後、私自身でもその真相を調べたり、こちらの知り合いに確認してみたりとしてみました。
その時に見聞きしたことや自分なりに考えをまとめてみて思うこと、そして実際にその後今どのような状況なのかを今回はお伝えしていければと思います。
あくまでハッキリとした結論があるわけではない私個人の考えと思って読んでいただければと思います。

そもそも、今回発表があったような1週間の間ぶっ続けで停電するのはなぜなのか?という素朴な疑問です。
軍の発表ではメンテナンスや破壊された送電線を直すためというようなよくわからない理由ではあったのですが、結果的に24時間ずっと停電というのはなかったとはいえ、そこまでする必要があったのか?という事です。
そこに、ある種の疑念が生まれます。
「実際には発表がされているようなこと以外に目的があるのではないか?」

これまでにも割と大規模な電力系のメンテナンスのための停電というのはありました。
しかし、それでもその影響がミャンマー全土で1週間にも及ぶようなことは少なくとも私がミャンマーに住むようになってからの7年間では一度もありません。
そのような大工事をこのタイミングでする意図はなんなんでしょうか?

調べていくうちにまずわかってきたのは、今回の大規模メンテナンスの後には地域的にかなり電力が制限される地区が出てくるという事でした。
昨日の記事にも書きましたが、市民的不服従運動CDMの中に現状の軍にできるだけ資金を与えない目的で電気代を払わないというのがかなりの大規模な範囲で行われていました。
今も続けている国民も多数いるようです。

ミャンマーでは日本のように電気代を払っていない一つ一つの場所をピンポイントで電気を切っていくという事は確実には行えません。
実力行使としては電気代を払っていない家の送電線を切るというようなパワープレイが行われたりもしますが、今日起こっているような大規模な範囲ではさすがにそれを行うわけにもいきません。

ですが、ある程度の地域的な範囲であれば電力をコントロールするのは可能なようです。
この1週間でその地域の選定やコントロールシステムを取り入れていく期間にしようというような試みなのではないかというようなことが言われているのがわかりました。
どこまで意図的に行われているかはわかりませんし、実際1週間が終わってみてどうなったのかも現状はわかりません。
これを書いている21日時点でわかるのは1週間停電の後、いまだに停電は毎日続いてはいますが、比較的定期的に停電するようになりました。
4時間電気が来て、4時間停電するといった具合です。

少なくとも計画停電を地域的、時間的にコントロールをしやすいようなシステムは取入れることができたのではないかと感じています。

そして、気になった事がもう一つ。
このような情報は恐らく特別に出てきた情報という事ではなくどこからともなく漏れ出ているという事から、意図的に流されたものではないか?という疑念です。
というのもこのような情報が流れた場合人々がどう動くかと想像してみると、電力が来ない(来にくくなる)地域から移動する人、そうでない人がハッキリしてくるだろうなということです。

実際に日本人の間でもそのような話は出てきているようです。
恐らく、その他の外国人の間でも電気が来にくい地域から出るというような動きはあると思います。
当然、その動きは監視を強めている軍の把握することとなると思います。

例えば富裕層とそれ以外、外国人と国内の人間、軍に正面から逆らう人々とそうでない人々。
図らずもその分断が地域的に起こってくるのではないかという考えに至った時に少し恐ろしくなりました。

すっかり日本でのニュースは減ったようですが、ここヤンゴンでも毎日、不当に人々が拘束され収容所に連れていかれています。
毎日です。
中には帰らなくなった人も出ています。
思いの度合いはそれぞれではありますが、すべて軍政を受け入れて良しとする人は多くありません。

そんな中、何とか平穏に日常を過ごそうという動きが広まってきているのも事実です。
それと比例して、日本などでの報道は減っていく一方ですが、国内の独立系メディアでは相変わらず国民への弾圧が報道されています。
インターネットが現代のように発達し、SNSなどで隠し切れないものが一部出ているだけで毎日これだけの数があるわけですから実際にはもっと多くの犠牲が出ていると感じています。

今回の停電の発表は軍が今後国民の動きを把握しやすいようにするためにある意図をもって行ったと思われるところが多々あり、どうにも嫌な考えがぬぐえません。
今後、また新たに本当の民主化を求める国民への弾圧を裏で行うための準備がされているのではないかと一見平和になったヤンゴンの街並みを見ながら感じています。

今回私が書いたことはあくまで私個人の見解ではありますが、このことを頭の隅に踏まえた上で引き続きミャンマーの動向に注視していただけたらと思っています。
杞憂であればそれが一番だと私自身思っています。
電力が限られてしまっているとはいえ私はまだ普通の生活は一定以上の水準でできています。
ですが、今この瞬間も家を追われ国境近くの山などでの生活を余儀なくされている多くの国民がいる事をどうか知っていただけたらと思います。

それではまた明日。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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