World Voice

ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

ミャンマーで作った短編映画「一杯のモヒンガー」の軌跡とこれから

映画パンフレットより

皆さんこんにちは。
激動のミャンマーはヤンゴンから新町がお送りしております。

ここのところずっと「一杯のモヒンガー」の話題ばかりを提供してきましたが、今回で一区切りです。
まずは10月10日のオンライン上映会イベントに参加していただいた皆様ありがとうございました。
こんな時なのでオンラインという形になりましたが、こんな時だからこそオンラインで出来たイベントとも言えるのだと思います。

沢山の方とこの映画を観るという時間を共有できた事、プロデューサーとして幸せに思います。
思い返せばこの映画を作ろうとなったのは2017年の3月末。
もう4年半以上昔の事です。
この歳になると細かい事は思い出せなくなってくる事も増えますが、この企画については鮮やかに思い出せる事が沢山あります。

当時は本当に純粋に「面白そうだからやる、やるからには本気でやる」ただそれだけでした。
この世間に対してインパクトのあるような事をしたいとは思いましたが、この作品を作る事の意義というところまで深く考える事はありませんでした。
またそこまで考えるような余裕もありませんでした。
どれくらい余裕が無かったかと言うと、メイキングの為に回したカメラ映像がほぼないというくらいです(これは本当に勿体なかった)

完成した後もどこか私の中では「小ぢんまりと行こう」というような消極的なところがあったのですが、監督の北角さんが率先してこの作品をドンドン届けようとしてくださっているのなどを近くでみたり、応援してくれる方の様々な声を聞く中で私もこの作品を出来るだけ多くの人に観てもらわなければいけないというような使命感が大きくなっていったのだと思います。

作ったのがコメディ映画で、企画自体ギャグのような活動だったので、その事を大げさに言うのはどうも気恥ずかしいところはあったのですが、そうは言っても心身を削って作った作品です。
自分の作った作品を子供に例えるなら、産んでおいてそれに手をかけないのは育児放棄をしているようなものです。
作品を作った後もそれを育てるように活動していかないといけないなと当時思い直した事がありました。

世界の映画祭にこの作品を出すというのも私一人では絶対に無かった発想ではありましたが、ありがたい事に沢山のところで評価していただきました。
自分の子供が評価されるというのは何より嬉しい事です。
産まれて初めての体験でした。
中でもマドリード国際映画祭にノミネートしていただき、これも産まれて初めてスペインに行ったのは忘れられない体験でした。

「一杯のモヒンガー」は完全な自主製作映画です。
沢山の方々に助けられ手伝っていただいて完成した作品ではありますが、大きなスポンサーがある訳でも協賛がついている訳でもありません。
予算も少ない中大変な事はありましたが、だからこそ出来た事、これから出来る事というのも沢山あるのかなと思っています。

ミャンマーの発展の為にこの映画で出来る事はどんな事でも協力したいと思っていますので、何かあれば是非お声がけいただければと思います。
最後はプロデューサーとして私が責任をもって様々な決定をいたしますのでドーンとお任せいただければと思います。

今回イベントが終わり、初めて「一杯のモヒンガー」でエゴサーチしてみました。
普段あまりそういうことをするタチではないのですが、やはり気になってしまったので。
そうすると今回のイベントの事は勿論ですが、過去これまで色んなところで取り上げていただいた記事なども沢山出てきました。
決してハリウッドのような派手さはありませんし、日本で大きく話題になるようなセンセーショナルなものではないのですが、それでも少なからずミャンマーに関する様々な話題を供給できた事に大きな喜びを感じています。

このWorld Voiceの連載でも以前お伝えしていますが、「一杯のモヒンガー」の翌年にも実は短編映画を製作しています。


この「ゴールデンロッカーズ」という作品も合わせて今後ミャンマーのイベントなどで私たちの作品を発表する場を提供できればと考えています。
ご興味のある方はこちらも合わせてお声がけいただければと思います。

引き続きミャンマーは大変な状況です。
現在この国で映画を作ろうと動いているような話は恐らく無いとは思うのですが(どんな映画を作るにしろ様々な危険があるので)それでも私の挑戦はまだ終わっていません。
大きな目標としてはミャンマー発のエンタメを世界に持って行くということなのですが、今温めている映画企画もコッソリ進めていきたいなと思っています。

これまでの企画と比べるととてつもなく大きな挑戦になり、コロナからクーデターという最悪のコンボを食らってしまい難易度は更に跳ね上がってしまいましたが、このミャンマーという国のエンターテインメントは決して止まりません。
この国の人々が苦しい中にも楽しみを忘れずに強く生きている中で、そんなミャンマーに魅せられた日本人の私が諦めている場合ではないなと強く思っています。

ミャンマーで暮らすようになって7年、決して短い年月ではないこの期間で私が出来たことは小さく、本当に僅かな事であったと思いますが、全てはこの挑戦の為の力になっていると信じています。
果たしてこの挑戦がどうなっていくのか、これからのミャンマーと共に関心を抱いていただければ幸いです。

最後にお知らせを一つ。
一杯のモヒンガーの脚本がAmazonにて絶賛販売中です。

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ミャンマー語と日本語が見開きで対訳されている形で載っています。
ミャンマー語を勉強している日本人の方や、日本語を勉強しているミャンマー人の方の教材にも使っていただけたりしているようです。
ミャンマー語にはフリガナも付いています。
インターネットで映画を観れる視聴コードも付いていますので合わせて観れば発音もバッチリ確認できます。

試し読みも出来ますので是非覗いてみてください。

それではまた。

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Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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