ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々
世間からの雑音が耳に入らなかったミャンマーでの映画製作
10月6日
世間からの雑音が耳に入らなかったミャンマーでの映画製作
皆さんこんにちは。
激動のミャンマーはヤンゴンから新町がお送りしております。
今回の記事は前回からの続きになりますので、まだお読みで無い方はそちらからお読みいただけると幸いです。
短編コメディー映画「一杯のモヒンガー」を手掛けるということ
先ずはイベントのお知らせです。
10月10日に行います
映画「一杯のモヒンガー」オンライン上映会&トークライブ
の参加者が170名を突破しました。
更に沢山の参加者を募集しております。
気軽にミャンマーに触れる事が出来るこの機会を是非お見逃しなく。
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フェイスブックイベントページにて各種お知らせをしています。
よろしければそちらもチェックしてみてください。
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それではここから前回の続きです。
2017年3月末、当時ヤンゴン日本人の憩いの場であったサルーというラテンレストランの一角で「一杯のモヒンガー」の企画はスタートしました。
正確にはこの時はまだどんな映画を作るのかも決まっていません。
勿論「一杯のモヒンガー」という名前もまだ世に産まれていない状態です。
この時決まったのは、9月にヤンゴンで行われる「ワッタン映画祭」に応募するという事、ジャンルはコメディにするという事、そして脚本は平田悠子が手掛ける事。
これくらいでした。
この時は私以外酒が入っていた事もあり(特に北角さんはかなり酔っていたと記憶しています)改めてシラフの時に3人で打合せをしたのですが、先ずはその前に私が経営する会社
MAKESENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd.のスタッフ達に今回の企画についての説明が必要でした。
当時は週一で全体会議をやっていたので、その時の議題として「映画を作るぞ」というのをブチ上げました。
当然弊社としては初めての試みです。
初めてではありましたが、これまで私が会社の舵を取るようになってから初めてのことを突然始めるのはこれが初めてではないので(ややこしい表現ですいません)20人程いたスタッフは特に驚いた様子もありませんでした。
もしかすると突拍子もなさ過ぎてリアクションしきれなかったのかもしれないですが......
これはもう社全体でフォローしていかないといけない案件だったので、それぞれがいつもの業務に加えて映画製作の中の役割を請け負う事になるからよろしくねと頼みました。
例えば撮影班などはわかりやすいのですが、経理の子が小道具係になったり、総務の子が撮影スケジュール管理をやったりと中々大変な状況だったと思います。
そして何を隠そう「映画を作るぞ」と会議で言いだした私が勿論映画のプロデューサーをするのも初だったので何だかもうしっちゃかめっちゃかではあります。
とはいえ、「やるぞ」という気合、そして「必ずやりとげるぞ」という熱意は伝わったと思います。
これまでに無い挑戦であり、それでいてエンターテインメントど真ん中の映画製作というのに社全体が盛り上がっていました。
こんな映画製作として全く経験の無い私たちで現場の不安が無いと言えばうそになります。しかし、脚本の平田悠子は日本で助監督として5年現場で揉まれたツワモノだったのです。
実際彼女無しでは確実に現場は回らなかったと思います。
脚本を書き上げた後も、助監督として、また制作補助、はたまたタイトルの文字デザイン(ミャンマー語を習字で書いてもらいました)やポスターのデザインなど大車輪の活躍を見せます。
映画を製作するにあたってそもそもどういうセクションが必要なのかすらわかってなかった私たちにとって非常に頼りになる存在でした。
映画を完成させ、映画祭に納品するまではまさに怒涛の3ヶ月だった訳ですが、思い返してみると一つ恵まれていた環境だったなと思う事があります。
それが、今回の記事のタイトルにもしている「世間からの雑音」についてです。
実際この映画が出来上がって発表するまでの間、私の耳には映画製作に関する批判は勿論揶揄するような事も全く耳に入ってきませんでした。
ですが、そういった声は確実にあったようです。
ヤンゴンにはミャンマーにいる日本人のほとんどが住んでいますが、それでも3000人程、どうしても小さい村社会にはなりがちです。
ちょっとした噂なんかもまわりまわって耳にするのはよくあること。
そういった雑音を気にする余裕も無かったし、聞いたところでナニクソと頑張ったとは思いますが、楽しく製作していく中でも実はそこそこ大きな10円ハゲを作るという状況だった私のミジンコメンタルを考えると、製作中にその声が聞こえなくて良かったと心底思います。
もしこの突拍子もない企画を日本でやっていたらどうなっただろう?と考えると、少しは耳に入ってきてただろうなと想像できます。
異国の地で私たちが始めた無謀な挑戦を会社のスタッフ達も快く受け入れてくれ、近しい人たちはみんな面白がって様々な協力をしてくださった事には本当に感謝しかありません。
それだけミャンマーでの私たちの映画製作事業は特別なものなんだなと改めて思うところです。
隠す事でもないので発表すると、この一杯のモヒンガーの製作費はたった3000ドルです。
この映画についてとあるプロデューサーさんと話をした時があり、ありがたいアドバイスを沢山いただく機会がありました。
その方は数千万円の製作を手掛けたりする方で、厳しくもありがたい意見を沢山いただいたのですが、最後にこの3000ドルの製作費を伝えると
「3000ドルで出来たものならこれは名作だよ!」
と言っていただいたのを思い出しました。
その方が手掛けた桁違いの製作費のものを同等の条件で比べてもらっていたんだなという事がわかり喜んだのを覚えています。
新米プロデューサーなりに少し自信がついたエピソードです。
くだらない思い付きから始まった企画ではありますが、文字通り命を削りながら作った作品でもあります。
少なくとも私の毛根は削られていたようです(笑)
あれから製作から4年が経った今、再び皆さんとこの映画でミャンマーを共有できる機会が作れた事を嬉しく思っています。
今週はこの「一杯のモヒンガー」にまつわる話を更に掲載していこうと思いますので、イベントに参加されるまでのお楽しみとして読んでいただけると幸いです。
引き続きよろしくお願い致します。
それではまた。
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著者プロフィール
- 新町智哉
映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。
Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan