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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

肌で感じる1日の新規感染者数17万9800人超えの現実

1日10万人以上陽性が出る検査     pixabay イメージ画像

フランスの新型コロナウィルスの感染状況は、7月のバカンスが始まるタイミングで始まったヘルスパスのシステムのおかげで、ワクチン接種もある程度は拡大していき、また、感染のリスクが高い場所(レストラン、カフェなどの飲食店や文化施設、娯楽施設、スポーツ施設など)への入場の際はヘルスパスによる入場制限が行われていたために、感染者が増加するといっても、10月頃までは、1日の新規感染者数は1万人以内に抑えられてきました。

ところが、11月に入り、1万人のしきい値を超えたあたりから、雲行きは怪しくなり始め、11月の半ば過ぎには、1週間ごとに1万人は増加(1日の感染者数が)していき、11月末には、1日の新規感染者数は47,000人にまで達していました。

それでも、感染者が増えるわりには、入院患者ならびに重症患者数は、さほど、増加してはおらず、「ワクチン接種の効果だ!」「ヘルスパスの効果だ!」と、フランスは相変わらずの解放モードで、わりとゆったりと構えていました。

しかし、12月4日に感染者数(1日の)5万人を突破してからは、急速に感染拡大が進み、8日には6万人を超え、特に20日を過ぎてからは7万人、8万人、9万人と毎日のように1万人ずつ増加していくのには、ちょっと数字の感覚が麻痺していくようで、あまりの数字にピンとこないような気持ちにもなりつつありましたが、25日というクリスマスの日には、とうとう10万人を突破してしまったことに、呆然とさせられました。

もちろん、ノエルという、フランス人がバカンスの次に大切にしている一年の一大イベントの前、ノエルを家族と少しでも安全に過ごすために、検査数自体も急上昇したことにもよるものだとは思いますが、実際に感染者がいなければ、感染者数が増加するわけもなく、また検査の結果、偽陽性という可能性は少なく、偽陰性の可能性は少なくないことを考えれば、実際はこの数字以上の感染者がいると思った方が良いかもしれません。

感染者10万人超えの現状からのフランス政府の年末年始の対策

この新規感染者が10万人を突破した現実を重く受け止めているフランス政府は、年末年始に向けての対策を発表しました。当初から主に家族とともに過ごす習慣であるノエルよりも、大晦日から元旦にかけてのカウントダウンの日の方が、より広範囲の年齢層の人々が大勢で集まっての騒ぎになりがちなこともあり、こちらの方が心配されていたので、一部には、大晦日から元旦にかけての1日だけは、ロックダウンになるのではないか? 学校の再開が延期されるのではないか?との声も上がっていました。

しかし、結局は、大晦日の外出制限もなし、少なくとも3週間は、花火などのイベントは中止、大規模な集会は、屋内で最大2,000人、屋外で最大5,000人に制限され、スタンディングコンサートは禁止、公共交通機関、映画館での飲食が禁止、レストラン、カフェ、バーなどでは、着席のみの場合の飲食に制限、週3〜4日のリモートワークの義務化、地域によって、屋外のマスク着用義務化にとどまることになり、1月早々に再開される予定の学校も予定どおりに再開されることになりました。

また、何よりもワクチン接種をより浸透させることの重要性が説明され、これまで2回目のワクチン接種から3回目のブースター接種までの間隔が4ヶ月であったものを3ヶ月に短縮することが発表され、1月には、ヘルスパスからワクチンパスに移行する(これまでワクチンをせずにPCR検査等で乗り切っていたものがワクチン接種をしていない場合は、ヘルスパスでアクセスできていた場所にアクセスできなくなる)こと、また、想像以上に流通している偽ヘルスパス(ワクチンパス)に対する罰則を強化することも付け加えられています。

さすがに感染者が毎日のように10万人増加している状態では、いくら重症化するリスクは少ない(ワクチン接種をフルで行っている場合)とはいえ、さすがに入院患者数や重症患者数も着々と増加しており、また、ノエルで家族が集まった結果が出ていない今、ワクチン接種を急いだところで限界があり、本当にこれで大丈夫なのだろうか?と、不安は募るばかりです。

だいたい、1日の感染者数が10万人を超えているというのに、この危機感の全く感じられない街の様子は、年末年始ということもあるのでしょうが、どこへ行ってもものすごい人・人・人・・屋外では、マスクをしていない人も結構、目につき、唖然とさせられます。

肌で感じる感染者10万人超えの現実

現在、フランスで使用されているヘルスパスは、もともとは、パンデミックが始まってしばらくして開発された感染者追跡アプリ「TousAntiCovid」(トゥース・アンチ・コヴィット)というもので、感染者を見つけ、感染者に接触してしまった場合に、早々に検査をして隔離するためのものでした。しかし、当初は、このアプリを使用する人は、あまりおらず、全く役にたっていませんでした。

しかし、ワクチン接種が開始されてからは、このアプリにワクチン接種証明書が加わるようになり、今や、かなりの割合で、フランス国民の携帯には、このアプリがダウンロードされており、ほとんどの人が携帯にワクチン接種証明書を読み込み、ヘルスパスとして使用しています。このアプリでは、フランス全国の感染状況やワクチン接種状況、また自分の居住する地域での同様の情報がオンタイムで得られるようになっており、なかなか便利にできています。

昨日、政府の年末年始の感染対策の記者会見を見ていた時に、私の携帯に入っている「TousAntiCovid」(トゥース・アンチ・コヴィット)のアプリに「アラート(注意!)」というサインがついているのを見つけて、オープンしてみると、なんと、「あなたは、23日の日に感染者と接触した可能性があります。ワクチン接種をしていない場合は、感染のリスクが高いので、すぐに検査をして、隔離してください」というメッセージが入っていました。

正直、今では、このアプリはヘルスパスとしてしか使用しておらず、これが、感染者追跡アプリでもあったことを忘れていたくらいなので、こんなアラートが入っていたことを数日、気が付かずにいたのかもしれない・・今から検査しても、遅いかな?などと思っていたら、翌朝になって、今度は、「24日の日にも私が感染者とどこかで接触していた・・検査をしてください」という通知が入っていたので、これでは、毎日のように感染者とどこかで、接触しているのではないか・・と恐ろしくなりました。

私は、12月の初旬に3回目のブースター接種を受けるまでは、本当に必要最低限の外出しかせず、3回目のワクチン接種から2週間経つのを待って、少しだけ、ノエルの準備のためにと、街に出かけ始めました。しかも、想像以上の人出におののいて、外出の際は、屋外でもマスクを2枚重ね、人とは出かけず、買い物のみという私なりの警戒。私は心臓疾患があるために、普通の人以上の警戒が必要だと自分で思ってのことでした。

ですから、これまでは、そんなアラートを受け取ったことはなく、正直、そのアラートに記された日付の日には、パリ市庁舎の近くまで買い物に行って、ついでに、せっかくだから、パリ市庁舎前のマルシェ・ド・ノエルをのぞいたり、リヴォリ通りにあるケーキ屋さんに行ったついでに、これまたせっかくだからとチュイルリー公園のマルシェ・ド・ノエルをのぞいたりしていたのでした。マルシェ・ド・ノエルの想像以上の人出や、ヘルスパスなどのチェックが一切ないことに驚きながらもひととおり、ぶら〜っと歩いて、緊張感のまるでないパリのクリスマスの景色を眺めてきたのでした。

WorldVoice コロナを感じさせないマルシェドノエル.jpgコロナを感じさせないパリのチュイルリー公園のマルシェ・ド・ノエルの風景    筆者撮影

あれだけの人がいるところに行っていれば、あの中に感染者がいたのも不思議ではないことで、しかし、二枚重ねにしたマスクは一度も外さず、外食をしたわけでもなく、感染のリスクは少ないとは思いつつも、こうして連絡が来た以上、不安になり、パンデミックが始まって以来、初めて、薬局に検査に出かけました。

薬局は検査の人で長蛇の列ができており、対応している女性は、それこそ食事する時間もないのでは?と思うほどおおわらわ・・しかも、陽性者がいつもよりも何倍もの数だとかで、下手をすると、薬局でクラスターが起こるのではと心配になるほどでした。9月の段階で、ヘルスパスを拡大させるために有料化された検査も、ワクチン接種を受けている人に対しては、無料ですが、私の前に並んでいた、かなり高齢の親子が二人揃ってお金を払っていたところを見ると、彼女たちは、ワクチン接種を受けていないのだと思われます。

検査自体は、抗原検査で、簡単なもので、数分で終わり、結果は後で15分後くらいにSNSで連絡が行くから・・と言われて、私は早々に家に戻ってきました。

すると、今度は、娘が、「この間、会った友人から、コロナに感染したと連絡をもらった」と。ノエルを家族大勢で過ごして、どうやらその中にワクチン未接種者がいたのを知らなかったとのこと・・その友人は、昨日あたりから、具合が悪くなり、今朝になっても、回復しなかったために、検査を受けたら陽性だったとのこと・・。おそらく、娘の友人のような人がフランスには、大勢いると思われます。

薬局では、15分くらいで連絡をくれると言っていたのに、連絡が来ないのに剛を煮やした私は、再び、今度は娘とともに薬局へ、娘も検査を受けましたが、幸いなことに、二人とも陰性でした。

しかし、その後すぐに、また、娘の別の友人から、感染者と接触した4日後に検査に行った時には、陰性だったものの、6日後になって(それから2日後)検査をしたところ、今度は、陽性だったという知らせ。

毎日のように感染者追跡アプリから入るアラートと娘の周囲の友人たちの次から次へと来る感染の知らせなどから、もはや「犬も歩けば棒にあたる」状態であることは明白で、かなり外出や人と会うことを避けている私の周囲でさえもこんな状態になっていることに、「1日の新規感染者10万人超え」という現実をひしひしと感じさせられています。

1月初旬には、1日の感染者数は25万人を超える可能性がある

先日の政府の年末年始の感染対策についての会見で、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「1月の初旬には、1日の新規感染者数が25万人に達する恐れがある」と説明しています。こうなってくると、もうロックダウンせずとも、隔離状態の人が最低でも1日につき、確実に10万人以上は増加していくわけで、社会生活がままならなくなってきます。現在のフランスは、デルタ株とオミクロン株の両方への別々の対応がよりことを複雑にしているそうですが、少なくともこのデルタ株の3倍のスピードと感染力を持ったオミクロン株で感染急速に増加しているのはもはや間違いありません。

また、ワクチンの有効性が想像以上に早く減少していってしまっていた事実に気が付くのが遅かったことも大きな原因の一つだったかもしれません。ワクチン接種の間隔が3ヶ月となると、早い人は9月の段階で3回目のブースター接種を受けているので、そろそろ4回目のワクチン接種が必要となる可能性もあります。早めに優先的にワクチン接種を受けている人々は高齢者や重症化のリスクが高い人々であるため、これについても見過ごせない現実でもあります。4回目のワクチン接種については、最も早い段階で3回目のブースター接種を進めたイスラエルと連携をとりながら、現段階では、検討を進めていくとされています。

パンデミックから約2年が経とうとしていますが、こんな具合で、フランスはまた今年の冬も厳しい状況のようです。だいたい、ものごとをあまり深刻に捉え過ぎないフランス人の国民性はおおらかで、嫌いではないのですが、それは、平常時においてのことで、1日の感染者数が10万人を超えた段階での政府からの制限が、「3ヶ月後にブースター接種を繰り上げること」は別としても、今さら、「大勢の人が集まらないようにしましょう」とか、「食事中は、着席していましょう」とか・・もうとうに分かりきっていることをあらためて禁止されなければならないあたり・・小学生??いや、幼稚園??いやいや、子供の方が素直に大人の言うことを聞きそうだ・・などと思ってしまうのです。

「1月には、オミクロン株のためにフランスに第6波がくるかもしれない」などと言われていましたが、第5波が全く下がらないどころか、それを上回る大きな波が襲っています。

ここまで書いたところで、昨日の新規感染者数が17万9807人だったというニュースが流れてきて、もう絶句です。10万人超えの次は、一気に17万9807人とは・・もうほとんど18万人です。先ほど、検査に行った薬局の人があまりに陽性が多いと驚いていましたが、それは、その薬局に限ったことではなかったのです。

フランスのこの1日の新規感染者数は、日本のパンデミックが始まって以来の総感染者数の約10分の1に当たります。たった1日でです。フランスとて、これだけの新規感染者数は新記録です。しかし、これから年末年始を控えている今、この記録が破られるのは、時間の問題であると考えざるを得ません。11月の初めにWHO(世界保健機構)が「ヨーロッパが再び感染の震源地になる」と警告していましたが、どうやら、震源地と言われていたヨーロッパの中でもフランスは、その中心になりそうな気がしてきました。

これだけ感染者が急増している中、あらゆる場所・場面において、隔離のために人員不足、交通機関も減便され、ますますの混雑が見込まれ、病院とて、患者がこれ以上増えれば、病院スタッフにも感染者が増加しているためにキャパを容易に超えてしまいます。また、たとえ、取り締まりを厳しくしたところで、警察でさえも人員不足、本当に収拾つかない悪循環に陥っています。もうこれ以上の被害を広げないためにも大晦日から元旦の1日でもいいから、ロックダウンしてくれないだろうか?と切に思います。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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