パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです
フランスの滞在許可証(ビザ)更新手続きのトラブルの悲惨な現状
絶体絶命 もう法に訴えるしかない
電話はダメ、メールしても、手紙を出しても何の返答もなし、全くアクセスできない状況に、私は途方に暮れ、周囲の人に相談すると、皆、口を揃えて、とにかく、一度、直に行ってみた方がいいと言うのです。しかし、お役所の外国人受付には、警備の警察が常駐していて、予約のない人は一切、中に入れてもらえません。もしかしたら、書類を失くされたかもしれない・・と、書類をもう一度、全て揃え、入れてもらえなくても、受付に事情を説明した手紙と書類一式を預けて来ようと、一揃えを持って出かけましたが、案の定、中には入れてもらえないどころか、受付さえも、コロナウィルスの衛生対策のために閉鎖中と言うのです。まさか、その場の警察官に書類を預けるわけにもいかず、私は、絶望的な気持ちで家に戻ったのです。
これまでも度々、窮地に陥った時には、助けてくれてきたフランス人の友人に事情を説明して相談すると、彼女は、「ろくに働かないお役所の人のために、犠牲になってはいけない!絶対に諦めないてはいけない!」と言って、色々と調べてくれた結果、このようなトラブルは、現在、パンデミックの混乱の影響もあり、多数、勃発していて、これを抗議するためのデモまで起こっているとのこと。しかし、抗議してデモに参加したとて(しかも、このコロナウィルスが蔓延している状況でのデモなどもってのほか、私はすでにビザも切れ、コロナウィルスに感染しても医者にかかれるかどうかもわからないのです)事が解決するわけでもなく、いくらこのようなトラブルにあっている人がたくさんいようとも、それは何の解決にも慰めにもなりません。
彼女はこの種のトラブルの相談に乗ってくれる機関を見つけ出し、さっそく、事情を説明するメールを送ってくれました。すると、その機関はお役所とは違って、すぐに返信をしてくれて、弁護士を紹介してくれました。トラブルに関して、役所に一切のアクセスができないのですから、これはもう法に訴えるしかないという事です。
このまま引き下がることもできずに、私もいよいよ腹をくくって、一気に戦闘モードに突入。紹介された弁護士に頼もうと状況を説明する手紙や書類を用意し、明日には送ろうと思っていた矢先に、まるで何事もなかったように役所から「あなたの滞在許可証は、もうすでに出来上がっています。このナンバーを使ってサイトで予約を取り、225ユーロの収入印紙と期限切れの滞在許可証、仮発行のカードを持って、新しい滞在許可証を受け取りに来てください」というメールが入りました。これまでの半年間、特にこの一ヶ月間の私のイライラは一体、何だったのだろうか?と、朗報ながらに俄かに信じがたい気持ちでした。まさに弁護士に書類を送ろうとしていたそのタイミングに、以前に送った手紙かメールを一ヶ月近くたって、ようやくお役所は目にしたということなのでしょうか? しかし、もう疑心暗鬼の塊のようになっている私は、受け取りの予約を入れても、新しいカードをこの目で確認するまでは、安心できない気持ちでした。
まさかの永住許可・・
そして、受け取りの予約を入れた当日、また、時間の指定が、9時9分という分刻みの指定。「どうせ、時間を守らないくせに・・」と腐りながらも、こちら側の落ち度は認められないことから、私は、時間よりもかなり早くに、家を出ました。あいにく、その日は、RER(パリ地域の鉄道交通網)のストライキの予定もありました。時間よりもかなり早めに到着して、お役所もまだ開いていない時間ながら、門の外には長蛇の列。予約していない人以外は入れないのに、なぜこんなに行列? また、その行列に浴びせられる警官の怒声をもう今回は、シラけた気持ちで見ていました。
しかし、中に入ると、今回は、朝、早い時間の予約が取れたことで、それほど待たされることは、ありませんでした。(それでも30分くらい) 持ってきた予約の確認と収入印紙、期限切れのカードを渡すとあっさりと新しいカードが渡され、私は、記載に間違えがあってはいけない!とその場で、記載内容を確認しました。すると、カードには、CARTE RESIDENT PERMANENT(永住)と記載されていました。私は、特に永住希望を出していたわけでもなく、なぜ、私のカードが永住許可を含んだものになったのかはわかりません。調べてみると、「10年の滞在許可証を2回以上更新した場合は、申請可能」となっているのですが、特に申請しない場合でも自動的に永住扱いに切り替わることは、知りませんでした。とにかく、一先ず、この永住云々は、私にとっては、文句をつけるものでもなし、ホッと胸を撫で下ろして、私は、半年ぶりにようやくカードを受け取ったのです。
責任の所在がわからない
私の滞在許可証は、すでに、前から出来ていた模様で、単に連絡漏れだった模様です。しかし、実際に私がコンタクトした人は、書類を渡した人、カードを渡してくれた人だけで、私のカードに関するトラブルが一体、どこで、起こっていたのか? どの時点で問題が起こっていたのかを聞いても、それらの人々の関知するすることではありません。こうして、役所がクレームを一切、受け付けないことから、トラブルは、まるで、何事もなかったかのように消えていきます。実際に弁護士の力を借りて、訴えていたら、違うこともわかっていたかもしれないし、さらに嫌な思いをしたかもしれません。しかし、役所側の問題が浮き彫りにならずにいることは、この種の問題が日常化しても致し方ありません。役所側の問題が改善されることはありません。今年は、日頃から問題の多いビザの更新手続きに関わるお役所仕事のいい加減さに加えて、コロナウィルスによる混乱から問題はさらに増加しているようです。
この10年に一度の滞在許可証(ビザ)の書き換えは、私がフランスにいて、最も自分が外国人であることを思い知らされる瞬間です。半年にわたるトラブルで、思わず私が、「私もフランス人だったら、こんな思いをしなかったのに・・」とボヤいたら、娘に、「ママは、こんなこともちゃんと出来ない国の国民になりたいの?」と一喝されました。言われてみたら、それもその通りです。日本における外国人のビザの扱いがどのようになされているのかは、わかりませんが、フランスのような酷い状況ではないのではないかと思います。だいたい、あんな嫌な感じの人たち、なかなか日本では見ませんから・・。以前に日本の実家のある区役所に用事で行ったら、外国人受付なるものがあって、英語を話す職員が常駐しているのに驚いたことがありました。
私の次回の滞在許可証の書き換えは、10年後の2030年になりますが、その時まで私がフランスにいるか? はたまた生きているのかすらわかりませんが、二度とこのような思いはしたくありません。
著者プロフィール
- RIKAママ
フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。
ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」
Twitter:@OoieR