World Voice

アルゼンチンと、タンゴな人々

西原なつき|アルゼンチン

メッシ最後のW杯となるカタール大会目前、盛り上がるアルゼンチンと国内の変化

国内の変化

2014年から暮らしていて、私にとって今年は3度目となるアルゼンチンで経験するワールドカップ。どんなに経済が苦しい局面にあっても、大きなデモや事件があったとしても、サッカーの大事な試合が来れば全てそっちのけでサッカー第一になる、ということも毎回感じることです。終わったころに、「で、なんだったっけ?」と改めて現実に戻るのです。

今年はW杯目前にして、それにまつわる、さらに首を傾げたくなる変化も起こっています。

アルゼンチンの米ドル⇔アルゼンチンペソの換金レートの数は、公式発表されるもので、8月時点で6つほど(銀行のオフィシャルレート、輸出入用レート、外国人旅行者用レートなど)があり複雑だったのですが、それが先日さらに増えました。

この目的はというと、外貨とのやり取りをする際にそのケースごとにそれぞれに違ったパーセンテージで課税をするためのレート設定なのですが、それが増えに増え、現在17つもの公式のドル⇔ペソレートが存在しているようです。

(参照/10月13日ラ・ナシオン誌)



この中でも一番注目を集め、ニュースでもよく取り上げられているのが、「カタール・レート(Dólar Qatar)」なるもの。サッカー観戦にカタールに行く人たちをはじめ、海外旅行をする人たちの旅先での支出に対象となる課税レートです。

(そのほかにも、ご親切にお友達同士で通貨を交換する時用のレートとして「お友達レート」、「ネットフリックスレート」、人気ロックバンドが11月にアルゼンチンで初ライブをするということで、そのバンドの名前から取った「コールドプレイ・レート(Dólar Coldplay)」などなど・・・)

これをオフィシャルとして政府が発表してしまっているということで、ここに住む現地の人々も総じて「この国、本当にどうなってんの」という反応でした。



何はともあれ、今は完全にサッカーに気が持っていかれているアルゼンチン。

カタールまで試合に行く人たちはいそいそと準備を始め、またテレビを持っていない人は今からどうやって観戦するか、近場で試合が見れるカフェやバーをチェックしたり、お隣さんと交渉を始めたりしている人も。

人生を楽しむことを忘れない人々。この部分に関しては、見習いたいものかもしれません。

私も、レオを、アルゼンチンを、全力で応援したいと思います!

iStock-1222072235.jpg

(istock_jacoblund)
 

Profile

著者プロフィール
西原なつき

バンドネオン奏者。"悪魔の楽器"と呼ばれるその独特の音色に、雷に打たれたような衝撃を受け22歳で楽器を始める。2年後の2014年よりブエノスアイレス在住。同市立タンゴ学校オーケストラを卒業後、タンゴショーや様々なプロジェクトでの演奏、また作編曲家としても活動する。現地でも珍しいバンドネオン弾き語りにも挑戦するなど、アルゼンチンタンゴの真髄に近づくべく、修行中。

Webサイト:Mi bandoneon y yo

Instagram :@natsuki_nishihara

Twitter:@bandoneona

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