シリコンバレーと起業家
Airbnbの上場・旅行と居住の境目がなくなっていく未来
──今後、旅行と居住の境目が無くなっていく中で人との繋がりはどのように変わっていくと思いますか。
内藤:誰かと繋がったり、何かに属していたいというのは人の持つ根本的な欲求だと思っていて、パンデミックの前であればAirbnbのホストと交流したり、ローカルのエクスペリエンスで現地の人に対面で会って何かを体験するといったことが可能でしたが、そういったことが難しくなった今、旅行をしながらどういった形でローカルの人たちと体験をともにするのか、というのは大きな課題でありチャンスではないかと思います。
ここは今、弊社Anyplaceで取り組んでいる領域でもあり、ノマドのライフスタイルはみんな憧れがあったりするけど、実際にやってみると行った先に知り合いや友達がいないから寂しかったり、ストレスが溜まったり、そういう人との繋がりという点で持続可能ではないという課題があるのも事実です。なので、今自分たちは、どこへ行っても現地で同じノマドや近しい属性の人に出会えるような取り組みを準備しています。
例えとして、Couchsurfingというバックパッカー同士がお互いに人を泊めてあげるというサービスがあるのですが、今Couchsurfingにはハングアウトという機能があって、例えば今サンフランシスコにいる人で今週末ハイキングに行きませんかとか、一緒にカフェ行きませんか、バー行きませんか、といったアクティビティベースで現地にいるバックパッカーと出会える機能があり、パンデミック下においてもかなりアクティブに動いているんです。バックパッカーの人たちは旅行先で他のバックパッカーと会えるのを楽しみにしていて、貧乏旅行ではあるけどそれがあるから面白いという人が多いです。
自分たちはノマドでも同じような体験を提供したいと思っていて、ノマドとバックパッカーは属性が違っていて、ノマドの人たちは働きながら旅をしているので、バックパッカーの人たちのように平日一緒にどこかにいこうよということはできないのですが、それでもノマドは働きながら旅しているというところに、そのライフスタイルの良さを見出しているので、同じような価値観の人に滞在先で出会いたいというニーズがあります。それがノマドのライフスタイルの楽しさの1つでもあるのです。Anyplaceを通じて、世界中どこへ行っても現地でノマドの人たちに出会えるという体験を提供できたら、ノマドのライフスタイルを送るという障壁をもっと下げられるのではないかと思っています。
著者プロフィール
- 内藤聡
Anyplace共同創業者兼CEO。大学卒業後に渡米。サンフランシスコで、いくつかの事業に失敗後、ホテル賃貸サービスのAnyplaceをローンチ。ウーバーの初期投資家であるジェイソン・カラカニス氏から投資を受ける。ブログ『シリコンバレーからよろしく』。@sili_yoro