シリコンバレーと起業家
シリコンバレーに人は戻ってくるのか
──その上で今後起業または経営をする上で狙い目になる領域やアドバイスなどありますか。
内藤:狙い目になる領域は色々とあると思いますが、一番のチャンスは、コロナにより、アクセラレーターやミーティング、プロダクトを知るきっかけなど、全てがオンラインに移行しつつあるので、世界に向けてSaaSのサービスやC向けのアプリを売り出しやすくなっている点かなと思います。それこそアクセラレーターのプログラムもオンラインになっていて、面接自体もオンラインなので参加者は違う国にいながら参加できるようになりました。ジェイソン・カラカニスのアクセラレーターの直近のバッチに採択されたスタートアップのファウンダーもかなり海外(米国外)の割合が高かったと聞きます。物理的な制限による敷居が下がったことで、プロダクトやサービスのディストリビューションもしやすくなっているんじゃないかと思います。そこはチャンスかなと思いますね。
──最後に今後のAnyplaceの事業展望を教えてください。
内藤:特にアメリカはリモートワークが日本に比べて進んでいるので、デジタルノマドのような生活をする人はパンデミックの前から増えていたのですが、今回のパンデミックにより、人々の働き方が半強制的にリモートワークに移行した影響で、自分もノマドのようなライフスタイルができるのではないかと興味を持った人が増えたと思います。これまでは、ノマドのような働き方がしたくても、リモートで働くことが認められていなかったために諦めていた人が多かったと思いますが、今後はリモートワークという働き方が当たり前にできる時代になっていくと考えています。そのような人達に向けて、ノマドのライフスタイルを送るならAnyplaceが一番簡単な選択肢と思って貰えるようなプロダクトにしていきたいです。
Anyplaceの事業は家具付きで柔軟な契約形態の賃貸を提供することから始まっていますが、それだけではなく今後はオンラインのコミュニティを作って、世界中どこに行ってもAnyplace経由でノマド同士が旅先で繋がれて、どこに移動しても楽しく生活できるという世界を作っていきたいです。あと、現在作っているのはAnyplaceのパークス、日本語でいうと福利厚生のようなもので、どんな場所に行ってもジムやコワーキングスペースなどがすぐに使える、どこにいても同じようなクオリティの生活ができるといった仕組みを構築しています。
著者プロフィール
- 内藤聡
Anyplace共同創業者兼CEO。大学卒業後に渡米。サンフランシスコで、いくつかの事業に失敗後、ホテル賃貸サービスのAnyplaceをローンチ。ウーバーの初期投資家であるジェイソン・カラカニス氏から投資を受ける。ブログ『シリコンバレーからよろしく』。@sili_yoro