パスタな国の人々
国際女性デーとSessismo(性差別)的イタリア語の文法について考える
3月8日は女性のお祭り? それとも女性の人権を考える日?
1900年初頭にアメリカやロシアで始まったフェミニズム運動の一環である国際女性デーは、イタリアでは「フェスタ・デラ•ドンナ」、女性のお祭りの日としても親しまれている。
多くの人々が、女性自身も含め「3月8日だけは女同士で出かけていい日、夫や子供を置いて堂々と出かけていい日」という認識だ。25年前にイタリアに来たばかりの頃、イタリア女性たちが女友達と嬉しそうに外食するのを見て、そんなの全然普通のことと思っていた日本人の私は、とても驚き呆れたのを覚えている。25年後の今は、3月8日でなくても女性同士で普通に出かけるようになっているが、家庭の大黒柱として家事に子供の教育に常に奔走する女性たちは、この日ばかりは男性から、または女性同士でミモザを贈り贈られ感謝され、息抜きをする日、そんな捉え方なのだ。ちょっと母の日っぽいね。
そんな実態が、イタリアをジェンダー格差76位に甘んじさせているのではないか。
コロナ禍で経済的社会的打撃を、女性たちがより深刻に被ったイタリアでは、今年、女性の権利やジェンダーギャップについて考えるイベントがたくさん企画されている。
家族を大事にすること、マンマとして家族を愛して愛されることと、女性が自由に羽ばたくことが反意語であってはならない。
写真:i stock/: agrobacter
著者プロフィール
- 宮本さやか
1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。