LA最先端「D2C・消費財」ビジネスの裏側
【岩手→NYへ!】高級シャンプー創業者に聞く、'ラグジュアリー' D2Cの未来とは?
<起業を恐れるな。まずは実現化>
── 私自身よく聞かれるのが「起業への恐怖心がないのか?」です。リンはどう思いますか?
起業に挑戦したい女性に伝えたいのが、「You can do it(君ならできる)」です。私は30年もマーケティングや財務などキャリアアップをする道を歩み続け、社会から一般的に安定だと言われるレールから外れることができませんでした。
── ではどのようにして踏み出ることができたのでしょう?
重要なのは、実現化です。アイディア、良い商品、分析などが少しでもあればまずは実現してみる。すべての細かい詳細や起業に必要な全ての知識がなくてもまずは起業してみることが大事です。特に現代のeコマースはものすごいスピードで日々変わっているので、全ての知識を深く知ろうとしたらきりがありません。
勉強することも大切ですが、起業家にとってより重要なのは、自分より詳しい「人材」です。
── まさにその通りだと思います。『Masami』はとても良いパートナーシップを築けてるイメージなのですが、どのようにその人材を探したのでしょうか?
私は元々マーケティングという人脈がかなり広い世界で働いていたので、その人脈を活用し、仲の良い友人数人に一緒に起業しないかと声をかけました。やはり、最初からお互いの倫理や能力、そして大事なモチベーションやコミュニケーション方法などを知っているとかなり仕事がスムーズにいきます。
<2021年のラグジュアリーブランドのヒントは「経験」>
── ラグジュアリー業界のトレンドで何かユニークなことはありますか??
数年前から業界で言われていることですが、「これからのラグジュアリーブランドは物理的なモノではなく、経験が大事」です。世界には高価なモノやブランドにあふれていることから、人々はブランドとの一時的な関わりではなく経験や質を求めつつあります。また、生活や価値を支えてくれるサステナブル(環境維持)かつ健康なモノ、を消費者は求めています。モノや経験を与えられるラグジュアリーブランドは、お客様に「自分はスペシャル(特別)」だという気持ちや自然環境に貢献しているという気持ちにさせることができます。
弊社ではこの流行とうまく向き合い、オンラインでの購入から丁寧で綺麗な包装までお客様が特別な経験ができるよう心がけています。例えばシャンプーなどの商品をダンボールにただ入れるのではなく、商品をフェルトバッグに包みお客様に届けています。
── 素敵な工夫ですね。「経験」の観点ではどのような取り組みを他にしていますか?
ミートアップで、海藻の説明などをコミュニティイベントを開催しています。なぜならアメリカ人は実は海藻を詳しく知らないからです。アメリカで人気な「Sushi(寿司)」に海苔が使われいることは認知していても、海藻に種類があることや健康にいいことはあまり認知されていません。このように、SNSに投稿すること以外の方法でも私たちのブランドの世界観を発信しています。
── ちなみに今そのコミュニティには何人ほどいるんですか?
リン:今45人ほどいます。
── 盛り上がっていますね。
そうなんです。そしてそのファンの方たちもとても協力的で私たちのブランドストーリーをシェアしたりしてくれます。今はまだ小さなイベントを重ね、何がうまく行くのか試しているところですが、今後は大規模のイベントができればと思います。アリッサさんも「Misaky Tokyo』のオリジナル和菓子「Crystal Treats」をお家で作る方法をミートアップとして講義してみたらどうですか?
── 楽しそうですね。ぜひ試してみたいです。
ラグジュアリーブランドの「経験」というのは、お客様全員を日本に連れて行き温泉旅行に行く、という大規模ではなくて、海藻の実物を見て触る、くらいで十分だと思うんです。材料を知り、創業者を知り、起業の背景を知る。そして、なによりファン自信が私たちを支えていることにより幸福感を味わえば、最高だと思います。
── つまり、ファンとのコミュニケーションが大事だ、と言うことですね。
インスタグラム、ツイッター、フェイスブック、ピントレストなどにとても力を入れています。TikTokでMisaky Tokyoがとてもうまくいってるらしいので、今後娘と息子も加えて挑戦してみようと思います。
── ヘアケアプロダクトのブランドとしてとして、お客様やtoBに対してどのような戦略を取っていますか?
やはり私たちのプロダクトの良さを最もアピールできるのは、既存のサロンで実際に使用してもらうことです。現在、ロサンゼルス、サンフランシスコなどにあるサロンと提携を組んでいます。見て、匂いを楽しみ、そして髪の艶、保湿、まとまりを実感することがなによりも一番効果のある宣伝方法です。ちょうど先月、ニューヨーク州やシカゴなどの大都市にお店を置いている『DREAMDRY』という大人気サロンと提供を組み限定プロダクトを開発しました。サロンと提供を組むという手法は、サロンオリジナルヘアケアプロダクトを開発していない限りサロンには悪影響はありません。弊社のプロダクトをサロンが使い、お客様が満足しサロンをリピートする、というWin Winの関係が作れます。
また、Sample Size Social という美容のプロとインフルエンサーが扱っている美容プロダクトの店舗や高級住宅地で有名なビバリーヒルズにも弊社のプロダクトを置かせてもらっています。
著者プロフィール
- 三木アリッサ
Co-Founder CEO / Misaky.Tokyo
新LVMH創設を目指し'伝統×ラグジュアリー×世界進出'をテーマにロサンゼルスにて和菓子D2C「Misaky.Tokyo」など展開。シュレックを手がける'ドリームワークス'本社での販売他、トランプ大統領保有の高級ゴルフ倶楽部に30社程しか選ばれない公認ベンダーにも認定。Tiktokフォロワー10万人。Forbes Japan 地球で耀く女性100人最年少選抜(2018)/ Business Insider Japan Game Changer 2019
Twitter:@AlissaMiky