日本人コーヒー生産者が語るコロンビア
チャットアプリWhatsAppの意外な使い方
3月19日インスタグラムとWhatsAppにシステム障害が発生し、30分以上メッセージが送れないなどの不具合が続きました。
システム障害が起きたのはコロンビア時間の正午12時半だったことから、様々な人々の生活に支障が出た様です。
インスタグラムは日本でもメジャーなSNSですが、WhatsAppは日本ではそれほど知られていないのではないでしょうか。WhatsAppは日本でいうLINEの様なチャットアプリで、ヨーロッパやラテンアメリカを中心に世界に20億人のユーザーがいると言われています。LINEは主に家族や友達との連絡手段として使われていると思いますが、ラテンアメリカではそれ以外にもビジネスの場でよくWhatsAppが使われているので今回のシステム障害の影響はとても大きかったことが予想されます。
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-- Oscar Rene Camacho (@oscarenecamacho) March 19, 2021
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-- Juan Pablo Secure (@juanpablosecure) March 19, 2021
問い合わせは全てWhatsAppで
街を歩けば、多くの店の看板にWhatsAppの番号が書かれているのを目にします。
「これ売ってる?」「何時まで開いてる?」など、何でも気になることは看板に書かれたWhatsAppの番号にメッセージをポンと送ればすぐに返事が来るのでとても便利です。コロンビアでは従業員は営業中に携帯を触ってはいけないというルールはほとんどなく、お客さんがいない時は大抵みんなWhatsAppで家族や友人と喋ったりゲームで遊んだりしているので、返信のスピードはとても早い事が多いです。
パンデミックで急増した宅配サービス
コロンビアではコロナウイルスの影響でロックダウンが半年近く続きました。
その影響を受けて客足の落ちた飲食店を中心にDomicilio(宅配サービス)を始める店が急増し、ロックダウンが解除され平凡を取り戻しつつある今でも宅配サービスは多くの人に利用されています。
最寄りのスーパーマーケットまで片道1時間かかる田舎に住んでいる私たちも最近は食料品の買い出しに宅配サービスを利用するようになりました。スーパーマーケットのWhatsAppにリストを送ればうちの集落を通る公共交通機関に商品を乗せて届けてくれるため、大幅な時間短縮になりとても助かっています。
小さなブランドや個人事業主の強い味方
WhatsAppには「WhatsAppビジネス」と言われるサービスがありこのサービスを利用すると、自分のWhatsAppのページに営業時間や商品のカタログなどを載せることができるようになります。
コロナウイルスでたくさんの小さな会社が経営不振で潰れていく中で、コロンビアではローカルの小さな事業者を支えようという動きが強まりました。Amazonのような大手の通販サイトが進出していないコロンビアでは、インスタグラムがオンラインショッピングの場としてよく利用されています。消費者はインスタグラムでサポートしたいブランドを見つけたら、そのブランドのWhatsAppのページに入ればカタログを閲覧することができ、クリック一つで商品を注文することができます。あとは販売元に送り先などを伝えて振り込みなどで支払いを済ませるだけなので、インスタグラムとWhatsAppのコンボが実質Amazonと同じような役割を果たしているのです。
ホームページ運営には経費がかかってしまうので、このシステムは小さな事業者にとっては画期的なシステムなのではないかと思います。
ラテンアメリカ人とWhatsApp
アメリカ大統領選で、中南米にバックグラウンドを持つ人の票を得る為の鍵はずばりWhatsAppだと言われていました。人との繋がりを大事にする彼らは常にWhatsAppを使って意見や情報を交換しているからです。
しかしWhatsAppの使い道はただのコミュニケーションに留まりません。会社勤めではなく、自分で事業を立ち上げお金を稼ぐ人が多いコロンビアではWhatsAppが様々な人の生活を支える存在であることがよく分かります。
著者プロフィール
- 松尾彩香
コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住
Twitter: @maon_maon_maon