魅惑の摩天楼、香港フォト通信
赤から熱気をもらう、香港街歩きの楽しみ
香港に住んでいると本当に思う、エネルギッシュな街だと。
ド派手で、ポップでおもちゃ箱をひっくり返したようなごった煮の世界。
香港に長く住んでいる自分でさえ思うのだから、
観光客はこの街に一歩足を踏み入れたらその派手さとエキゾチックさにびっくりすると思う。
しかしながらこの高揚感、熱気はどこから来るのだろう?
何が日本になくて、何が香港にあるのだろう。
色彩感だ。街を彩る赤が熱気を放っているんだ!
実際街を練り歩くと赤が非常に多い。ちなみに広東語では赤と言わず、こちらでは紅と書く。
真紅が好きなんだよね。市場の袋から看板、装飾、赤が多いこと。
●赤(紅)の理由
赤というのは見てるだけで高揚し、エネルギッシュさ、興奮、勝利を意味する色だ。
香港に来た当初はただ単に赤が好きなのだと思っていたけれど、段々と赤を使う理由があると気づいた。
こちらでは赤はめでたい色、幸運の色であり厄除けの意味も有る。
香港人はその昔、大陸から香港に渡ってきた人が殆ど。
その昔中国は貧しく、赤の服を着る、これは最高の贅沢とされた。
だから赤への憧れもある。
子どもの誕生日会に娘が呼ばれたり呼んだりと随分としたけれど、
現地の子どもが着てくるのは決まって赤のワンピースに赤のピン留め。
そしてプレゼントのリボンも赤。
ちなみにこちらでは白は葬式の色なのであまり縁起のいい色ではない。
白のリボンはあまり好まれない。
香港人が一年のうちで一番盛大に祝う旧正月、街は赤一色に包まれる。
お年玉の袋も勿論お決まりの赤。
大陸の中国人、香港人に人気の日系化粧品のプロモーションキャンペーンのボトルは必ず赤と決まっている。
真っ先に赤のボトルに手が伸びるのだ。
赤はめでたいと生まれたときから刷り込まれているんだろうな。
それは政治的な社会主義の赤の色の意味とは切り離されていると思う。
●写真教室で、「マリエさん、林檎は真っ赤でないと駄目なんです」
私事で恐縮だが、私が主宰している写真レッスンには日本人のみならず、現地の香港人、中国人の方も来てくださっている。
秋には林檎の被写体をよく撮るのだけれど、例えば
↑こういう色褪せたようなシャビー風の表現も有りますよとお教えすると、
「マリエさん、日本人と西洋人は好きな描写かもしれないけれど、
大方の中華系の人間にはこういうの駄目駄目。
中華系の人たちには絶対に受け悪いです。」
「真っ赤じゃなきゃ駄目なんです、真っ赤だと安心するんですョ、中華系の人間はね」
なるほど、写真からも国による赤の捕らえ方が見えてきて面白い。レッスンを通して中華系の方の色へのアプローチなど勉強させてもらってるなと実感する。
現在、旅行者はまだ香港に入れない。
先日、香港⇔シンガポール間の相互一般渡航、トラベルバブル(14日間の隔離免除、ただし搭乗3日前にPCR検査を受けて結果が陰性であることが条件)の基本合意がなされた。日本⇔香港間もそうなって欲しい。
旅行が解禁された暁には赤がアクセントの街を練り歩きながらエキゾチックタウン香港を堪能して欲しい!
著者プロフィール
- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。