悠久のメソポタミア、イラクでの日々から
アルビル国際空港に対し、ドローンを使った自爆攻撃テロ発生
4月14日の深夜、私の暮らすアルビルの国際空港敷地内の多国籍軍を狙ったドローン爆弾テロが発生しました。
幸い、死傷者は確認されていません。
報道によれば、14日(水)の夜遅く、TNT爆弾を搭載したドローンがアルビル国際空港内の多国籍軍の基地を爆撃、資材が損傷したのみで死傷者は出ていません。アルビルに駐留する多国籍軍に対する無人機を使った攻撃は初めてです。
また今のところ犯行声明は出されておらず、クルド自治政府当局が捜査を進めています。
散発する多国籍軍に対する攻撃
アルビルをはじめイラク国内の多国籍軍の基地は度々テロ組織の攻撃を受けてきました。
しかし2020年1月にトランプ前政権がイランの革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害して以来、イランが影響力をもつイラクのシーア派民兵組織による攻撃も散発的に起きています。
2021年に入ってからも、2月に一度アルビル国際空港内の多国籍軍基地を標的にロケット弾攻撃が起きており多国籍軍の関係者数名が負傷、さらに市街地にも何発か着弾したことで市民一人が犠牲になっています。
アルビル市街地に落ちたロケット弾の被害 ©筆者友人撮影
次の日にはバグダードでも自爆テロが
また4月15日(木)のお昼すぎには、首都バグダードのサドルシティでも車を使った自爆テロ事件が発生。4名の市民が犠牲となり、17名が重軽傷をおっています。
バグダードでは今年の1月に過激派組織ISISが犯行声明を出した大規模な自爆テロが発生しており、32名の市民が犠牲となったばかりでした。
2017年にイラク国内では最後の要衝とされたモスルが奪還され、それとともにISISの脅威は去ったという意見もみられます。しかし実際には未だにイラク国内に約1万人のスリーパーセルがおり、潤沢な資金を抱えています。
今年の夏にイラクは総選挙を控え混乱を狙ったテロが今後も予想されており、さらなる情勢の悪化が懸念されています。
著者プロフィール
- 牧野アンドレ
イラク・アルビル在住のNGO職員。静岡県浜松市出身。日独ハーフ。2015年にドイツで「難民危機」を目撃し、人道支援を志す。これまでにギリシャ、ヨルダン、日本などで人道支援・難民支援の現場を経験。サセックス大学移民学修士。
個人ブログ:Co-魂ブログ
Twitter:@andre_makino