イタリアの緑のこころ
秋はオリーブ収穫・新オリーブオイル・搾油場めぐりの季節
オリーブ収穫風景とぴりっと辛い新オリーブオイル
秋、オリーブ収穫の季節です。最近では、器械を使って収穫する家庭や業者も多いのですが、我が家では今も、義父が幼い頃からそうしていたように、手作業で収穫しています。まずは、木の周囲に大きな網を広げます。オリーブは、枝の上方を軽くげんこつでつかみ、そのままげんこつを枝にそって上から下に滑り下ろし、枝についた実を網の上に落としていきます。収穫しようと思う枝が高い位置にある場合には、写真のように、木にハシゴを立てかけ、ハシゴに登って収穫します。木のすべてのオリーブを取り終わったら、ハシゴを取り除き、四方の網を持ち上げて、網の上に落ちたたくさんの実を中央に寄せ、そうして一か所に集まった実を、そのままカゴに移していきます。(写真はこちらの記事)
そうして収穫したオリーブの実はある程度の量がまとまったら、オリーブオイルにするために、搾油場に運び込みます。上質でおいしいオリーブオイルの生産で知られるウンブリアでは、農業を職としていなくても、オリーブ園があり、自分たちが年に消費する、あるいはそれ以上の量のオリーブオイルを、オリーブを収穫して手に入れる家庭も少なくありません。
搾りたての新オリーブオイルは、ぴりっと辛みがあっておいしく、両面をトーストしたパンに、塩をふり、上からたっぷり新オイルを回しかけて、ブルスケッタにして味わいます。イタリアでは、オリーブオイルと塩・酢を使って、サラダの味つけをすることが多く、独特の辛みがおいしい新オイルを、サラダの味つけに好んで使う人もいます。
搾油場をめぐって新オリーブオイルの味見・購入
ウンブリアでは秋に、Frantoi Aperti(直訳は「開放された搾油場」)が開催され、搾油場を訪ね、新オリーブオイルの味を見て購入したり、オリーブオイルができる過程を見学したりすることができます。今回は、その一環として催されたイベントを、二つご紹介します。
#ウンブリア でも特においしい #オリーブオイル の産地として名高い #トレーヴィ の #新オリーブオイル 祭り。広場でブルスケッタ、町を散歩して豆スープ、歴史ある館で新オイルを味見、音楽を聴いて、オイル購入。#イタリア
-- Naoko Ishii (@naoko_perugia) November 14, 2020
2011 #FestaDellOlioNuovo #Trevi #Umbria #Italyhttps://t.co/JNNgoDAATn pic.twitter.com/HP43cI7uCJ
2011年10月、ウンブリアの中でも殊においしいオリーブオイルで知られるトレーヴィの町の新オリーブオイル祭りに参加しました。
広場では、新オイルがたっぷりかかったブルスケッタが無料でふるまわれ、新オイル以外にも、各地の特産物を売る店が並んでいました。わたしたちは、郷土料理とワインを味見できる券を購入し、町を訪ね歩きながら、ワイン、料理を楽しみました。また、歴史ある館には、町の様々な業者の新オリーブオイルのスタンドが並び、味見して購入できるようになっていました。
2014年は、グワルド・カッターネオの四つの搾油場を、他の人々と共にミニバスで回り、ブルスケッタや豆スープに回しかけた新オリーブオイルを味見し、購入したり、搾油機を見ながら説明を聞いたりしました。ウンブリア州のオリーブオイルは、他の地域産のオリーブオイルに比べて、抗酸化作用があって健康にいいポリフェノールの含有量が多いなど、興味深い話が多かったです。(詳しくはこちらの記事)
9月中暑い日が続き、10月に入って気温が急に下がった今年は、ウンブリア州では幸い蝿の被害がほとんどなく、質のいいオリーブオイルの生産が期待されています。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための規制により、今年はFrantoi Apertiで搾油場を実際に訪ねることはできませんが、10月24日から11月29日までは、オンラインで様々な搾油場やそのオリーブオイルを、ビデオ映像や写真などを通じて、知ることができるようになっています。興味のある方は、次のリンクからご覧ください。
著者プロフィール
- 石井直子
イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。
ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia
Twitter:@naoko_perugia