Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
大陸縦断鉄道ザ・ガン 95周年!オーストラリアの荒野を駆ける豪華寝台列車
1929年8月4日、アデレード駅は、歴史的瞬間を一目見ようと集まった大勢の市民でごった返していた。この日、アデレードとオーストラリア大陸中央部を結ぶ鉄道が開通。100人以上の乗客と貨物を乗せた一番列車を見送るためだ。
約1,500km先の辺境の地「アリス・スプリングス(当時の町名はスチュアート)」へ向けて走り出した列車の名は、「アフガン・エクスプレス」。現在、大陸縦断鉄道として知られる「ザ・ガン」号だ。
今では、アデレード〜ダーウィン間 2,979kmの長距離を結ぶ豪華寝台列車として、一生に一度は乗ってみたい世界の列車のひとつに名を連ねている。
今月(8月)4日、ザ・ガンが95周年を迎えたことを祝い、アリス・スプリングスのテレグラフ・ステーション歴史保護区で「ザ・ガン95歳の誕生日会」となるディナーパーティーが開かれた。
ザ・ガンの歴史と名の由来
1800年代、未踏の地であったオーストラリア中央部のアウトバック探索が始まった際、ラクダが物資運搬の手段として輸入された。アフガニスタンからやってきたラクダたちとラクダ使いは、レッドセンターと呼ばれる赤土のアウトバック開拓に大きく貢献。その後、鉄道建設が始まってからも20世紀初頭まで、辺境の地へ物資を運ぶ重要なインフラとして活躍したのだそうだ。
鉄道が開通した当初、開拓の功労者であった彼らにちなみ、列車は「アフガン・エクスプレス」と名付けられた。後に、アフガンを略した「ガン」の愛称で呼ばれるようになり、今日に至る。このため、ザ・ガン号は、かつてオーストラリア中央部の発展に寄与した「ラクダ」がシンボルマークとなっている。
赤土のアウトバックにあやかった赤いボディに描かれたラクダのルーツと開拓の歴史に思いを馳せながら乗車すれば、列車旅ならではのロマンを掻き立てられること間違いなしだ。
全長2,979kmの大陸縦断鉄道
ザ・ガン号が走る路線は、大陸の中央部を南北に結ぶアデレードからダーウィンまでの全長2,979km。これは、日本列島とほぼ同じ長さに当たる。(参照)
客車は、プラチナクラスとゴールドクラスの2つのカテゴリーがあり、食事や飲み物、途中下車で体験できるエクスカーションが含まれたオールインクルーシブのクルーズ・トレインだ。
今回私は、「ザ・ガン95歳の誕生日会」に参加するため、会場となるアリス・スプリングスを目指し、北のダーウィンからザ・ガン号に乗り込んだ。
過去にもザ・ガンに乗車したことがあるのだが、2004年にアリス・スプリングスからダーウィンまでの延長路線が開通する前のことで、アデレードからアリス止まり(当時は終点)だったので、2回に分かれているとはいえ、今回の乗車で鉄道による大陸縦断が成就することになる。
※ 今回のザ・ガンでの旅、車内の様子や食事、エクスカーションなどの詳細は、次回じっくりとご紹介します!>> 公開しました!
【ザ・ガンでいくオーストラリア列車旅】
Part 2:オーストラリア列車旅:豪華寝台列車ザ・ガンで赤土のアウトバックへ
▼ザ・ガン The Ghan - Journey Beyond Rail
現在、運行されているのは、2,979km全線を走破する2泊3日または3泊4日のコースと、アデレードまたはダーウィンからアリス・スプリングスまでの約半分を1泊2日で旅するコースの2パターン。ちなみに、ダーウィンからアデレードまでを3泊4日かけて走破する「ザ・ガン エクスペディション」が、最も泊数が長く、充実した列車旅を体験できる。
Special thanks to:Tourism Northern Territory, Journey Beyond Rail
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
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