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平野美紀|オーストラリア

日本人だけじゃない!? イタリア人もオーストラリアへ出稼ぎ 欧州よりも稼げるその実情

日本だけでなく、イタリアからも出稼ぎワーホリが増えている。画像はオーストラリアの地図とイタリアのパスポート。(shutterstock)

ここ1~2年、「オーストラリアは賃金が高く、稼げる」と、日本からワーキングホリデー・ビザで渡豪する若者が急増している。

内務省のデータによると、日本人へのワーキングホリデー・ビザ発給数は、2022/23年度は1万4,398件を記録し、過去最高となったそうだ。(参照

オーストラリアは、日本人に対するワーキングホリデー・ビザ発給数に制限を設けていないため、年齢等の申請可能条件さえクリアしていれば、誰でも申請でき、発給されるこのビザで、いわゆる「稼ぐ」「お金を貯める」ことを目的に滞在する人が増えた。日本でもメディアがこぞって「若者が海外へ出稼ぎ」として、オーストラリアの事例を報道していたため、ご存知の方も多いかと思う。

日本では「円安で」と枕詞をつけて報道されることがほとんどだが、円安はたまたまそういった時期に重なっているだけで、それだけが『オーストラリアへ出稼ぎに来る』大きな理由ではない。一番の理由は、為替レート関係なく、「オーストラリアの賃金が高くて、稼げる」ことだろう。これに円安が加わったのだから、こんなにいい条件が揃った話はそうそうない。

今やオーストラリアは、欧米並みに物価が高くなり、賃金(給料)も高くなっている。

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経営幹部やビジネスリーダーを対象としたビジネス雑誌「CEOWORLD」掲載の『平均給与が最も高い国と低い国 2023年度版』から高い国トップ10を抽出。1位はスイス、オーストラリアは3位とアメリカ(4位)を抜いた。(CEOWORLD magazine

昨年末に訪問する機会があったニューサウスウェールズ州内陸部の地方都市「グリフィス」で、その事実を 改めて認識させられる出会いがあった。

州最大のイタリア人の街「グリフィス」

グリフィスは、人口約27,000人という小さな街だが、6割がイタリアにルーツを持つ「イタリア人の街」として知られる。

オーストラリアの内陸部にありがちなコンパクトな街の中心部には、イタリア料理レストランやイタリア食料品店などがずらりと並ぶ。

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グリフィスのメイン通りにある小さなイタリア食料品店。イタリア系のカフェやレストランが本当に多く、ちょっとしたスーパーでもイタリア関連食品が充実している。(2023年12月 筆者撮影)

西洋人のオーストラリア入植が本格的に始まった1800年代、貧困から抜け出し、新天地を求めてやってきたイタリア人たちが、この地で農地開拓を成功させたのがきっかけだそうだ。

昔からイタリア人が住み着いたこの街は、今も本国イタリアとのコネクションが強く、毎年大勢のイタリア人がやってくるという。近年、とくに多いのがワーキングホリデーの若者だそうだ。

イタリアより断然稼げるオーストラリア

数日間滞在したグリフィスで、遅いランチをとるために街のメイン通りにあるイタリア料理レストランへ入った時のことだ。

ほとんどのお客はもう既に食事を終え、数人がまばらに残っている程度の店内で、片付けとディナーの用意をしていた若い女性が対応してくれた。

私達が食事をしていると、

「お料理はどうですか?」

と、にこやかに尋ねてくる笑顔が印象的で、とても心地のよい接客だったので、彼女の手が空いた時にちょっと話しかけてみたところ、思いもよらない話を聞くことができた。

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長い髪を揺らしながら、にこやかに、そしてきびきびと仕事をこなすイタリア・ミラノからワーキングホリデーで来豪したという女性。(2023年12月 筆者撮影)

その会話は、ざっと以下のような感じだ。

私「地元の方ですか?」

彼女「私、イタリア人なの。ミラノ出身です」

私「なぜ、オーストラリアに?学生さん?」

彼女「ワーキングホリデー・ビザで来たんです」

彼女「オーストラリアはお給料がいいので。英語を学びながらお金を貯められるし、いろいろ経験できるかなと」

私「え?イタリアよりもお給料がいいの?」

彼女「ええ、断然いいですね。私はミラノの銀行でアドバイザー的な仕事をしていましたが、今、この店でウエイトレスをしているほうが、ずっと稼げています」

私「え?えええーっ??本当に???」

彼女「はい、本当です。お給料がたくさん貰えるだけじゃなく、時間的にも余裕ができました」

20代半ばだというミラノ出身の女性は、そう言って笑った。

最後に彼女は、お金も貯まってきているし、時間に余裕ができたので、行きたかった日本へもここ(オーストラリア)からだと(イタリアより)近いから行ってみたい、と話してくれた。

ブロンドの長い髪を揺らしながら、きびきびと仕事をこなす彼女は、なんだかとても生き生きとして見えた。

彼女の話を聞きながら、そういえば・・・と、昨夜ディナーをとったレストランのスタッフも、かなり強いイタリア訛り(ほぼイタリア語のままの発音)の若者だったことを思い出していた。彼女と同じく、イタリアからワーキングホリデーで来ているのだろう。

長年この国で暮らしていると、賃金は上がれど、生活コストはうなぎのぼりで、年々暮らしにくくなっていると感じるのも事実...。それでも、豪国外の若者たちにとって、今、ワーキングホリデーで働きながらオーストラリアに滞在することは、今この時しかできない経験をする大きなチャンスなのかもしれない。〈了〉

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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